三ヶ月坊主

個人的嗜好をSexyと戦わせるゆるオタク

一般瞬殺の悲しみをチャイコフスキー『ハムレット』で癒そうの会

いや癒せるか!!!!チキショー!!!!!!!!

 

FC一般ともボコボコにされ失意のどん底にいるので、せめてハムレットの風を浴びたい。でもハムレットを読んだら絶対に行きたくてむせび泣く。当日券チャレンジも出来る日はやるがまあ多分無理かろう。その状態で行きたさが爆発してしまったら地獄だ。心の整理がついたら読も。でもじゃあどうやってハムレットの風を浴びればいいんだ……

ぐるぐると考えた末、私が閃き、たどり着いたのが以下動画だ。

 

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本が無理なら音楽じゃね!?!?流して寝転んでるだけで耳からハムレット要素が流れ込んでくるなんて……ほぼスピードラーニングじゃん……私は天才か……?

そんな安直な発想だが、曲選はちゃんと(?)している。チャイコフスキー作曲『幻想序曲 ハムレットだ。上記の動画はロンドン交響楽団が演奏している。なぜか一曲が二分割されてしまっているが……

 

長年アマチュアオーケストラをやっておきながらクラシック曲が1曲もスマホに入ってない*1タイプのダメ団員なので、ちゃんとした解説は全くできないが、クラシックなんて聴いた事ないわ!という方向けに簡単な案内および私の感想を書いてみた。クラシックわりと聴くよ〜という方は、こんなの読んでないでぜひ曲を聴いてください。

 

チャイコフスキー誰やねん問題

なんか音楽の授業で名前を聞いた事はあるな……?という人は多かろう。ソフトバンクのCM曲(下記動画)とか作った方です。この曲はバレエ「くるみ割り人形」の曲で、他にも「白鳥の湖」「眠れる森の美女」など超有名バレエの曲を手がけている事でおなじみ、ロシアが生んだレジェンド作曲家だ。

音楽性としては絢爛豪華!!!!ドラマティックが止まらない!!!!みたいな曲が多いイメージ。あと音量の大小が極端なのでお外では聞かないほうがよい。しれっとfffffとかppppとか楽譜に書いてくる作曲家はあんまいない。演奏する側から言うと無茶言ってんじゃねえぞ。誇大表現をしがちな現代のオタクに通ずるところがあるね。

 

 

・『幻想序曲 ハムレット』とは

チャイコフスキーシェイクスピアが好きだったようで、ハムレット以外にも幻想序曲シリーズとして『ロミオとジュリエット』『テンペスト』をテーマに作曲している。曲の知名度的にはロミジュリが一番有名か。どれも別にシェイクスピアにお許しを得ているわけではないので、いわゆる二次創作だ。まあ時代が全然違うので……*2

この『ハムレット』は20分弱とけっこう短めなので、あまりクラシックを聴かない人でもギリ聴ける長さ。交響曲とかだと余裕で1時間はあるので流し聴きでもキツいかもしれないが、20分弱なら何とかなるだろう。多分……

という事で、流し聴きしてみてください。耳からハムレット濃縮還元。

 

 

・曲を聴いた感想

ド頭からいきなり弦楽器が最高にドラマチック。かっこよすぎんか?これを従えて風磨くん出てくるんですか?(出てきません)

ハムレットを翻弄する「運命」そのものを描いているような、劇的なフレーズがひたすらカッコいい。舞台となる王室が目に浮かぶような、重厚かつ壮麗なメロディだ。しばらくカッコいい弦楽器で殴られ続け、これ絶対何か起こってるやん……という不穏さを煽られまくる。

あと要所要所の金管がキマってて◎。高音が目立つトランペットだが、軍隊のラッパ的な感じを出すためにクラシックに使われる事も多い楽器なので、こういう"王家""国家"みたいなシーンにはめっちゃハマる。トロンボーン(持ち手がむっちゃ伸びる楽器)は、かつて教会で使われていたものがクラシック音楽に取り入れられたという由来もあり、こちらも荘厳さを醸し出す効果が効いていて、ハムレット立ち向かうものの大きさを感じさせる(何となく)。

 

6:20〜ぐらいから穏やかかつ憂いを帯びた木管のメロディが始まる。ここで映ってる楽器オーボエ(黒と銀の細長い縦笛。恰幅のいいおっちゃん*3が吹いてるやつ)は、この後のこの曲においてはハムレットの恋人・オフェーリアを表していると言われている。確実に悲劇のヒロインやん感が伝わってくるあたり、さすがチャイコフスキー。ロシアの偉人は伊達じゃない。ここのオーボエソロは切ないメロが実にエモい(語彙力)のでせめてここだけでも聴いてほしいし、風磨くんもここだけでもいいからLINE MUSICに設定してほしい(ない)

オーボエのソロ後、木管の優しく穏やかなフレーズが続くが、ここは「愛の主題」と呼ばれているところにあたる(多分。自信ないです)。ここを境に、さっきまでのメランコリックな曲調に比べると、どちらかというと勇壮さ・ポジティブさを感じさせる曲調に変わる。もしかしたらチャイコフスキーとしては、オフィーリアの存在がハムレットの心の支えになっていた……的な解釈をしているのかもしれない。解釈を自分の二次創作で存分に披露するオタクの鑑だ。

 

しかし、再度オーボエのソロが出てきたあたりから、曲調はまた不穏になり始める。最初のオーボエソロといい、曲調の転換きっかけをオフィーリアにしているあたり、チャイコフスキーハムレット×オフィーリア推し強火加減が伝わってきて趣深い。

結局、小刻みなスネアドラム(こいつも軍隊シーンでよく使われる)に支えられた急かされるようなメロディによってハムレットは追い立てられ、そして重苦しいゆったりしたテンポのラストに入る。ティンパニ(でっかい横置きの太鼓)のリズムが表しているのは「葬送行進曲」だ。火葬の国日本では葬式の音楽=木魚だが、クラシックの国ヨーロッパでは土葬がメインなので、葬式のあと遺体の入った棺を墓地に運ぶ行列を表現するために、葬送行進曲というジャンルがある。この『幻想序曲 ハムレット』は、ハムレットの末路を表すこの葬送行進曲で幕を閉じる。

 

 

という事で、全部通して聴いた感想としてはこんなドラマチック名曲を二次創作で奉られるレベルの超絶名作をやる風磨くんマジで頑張って!!!!です。ご静聴ありがとうございました。

 

※この記事で使われている表現はあくまで個人の感想・解釈です。全く何の根拠もないのでご了承ください。

*1:弁解すると、CDは何枚か持ってます。クラシック音楽は音量の差が激しく野外で聴くのには向かない、また時間の長い大曲が多いので容量食うんだ……

*2:チャイコフスキー1893年まで生きていたので、クラシック作曲家としてはそこそこ最近の人です

*3:管楽器のおっちゃんはだいたい恰幅がよいので分かりにくかったですね。