三ヶ月坊主

個人的嗜好をSexyと戦わせるゆるオタク

マイ・ハイライト・オブ・セクシーゾーン ケース:akariさん

前回↓

 

 Sexy Zoneのファンに、出会ってからハマるまでの経緯をインタビューする企画「マイ・ハイライト・オブ・セクシーゾーン」。第3回は、企画発表をしてすぐにご連絡をいただいた、akariさん(Twitter:@akarinrin_sz)へのインタビューになった。
 お話が面白くて途中から普通にオタク同士のお喋りになってしまい、苦渋の決断で削る箇所が複数出ることになってしまった。今回は対話形式ではなく、文章形式での掲載になります。

 

 

 

 朝、家の中ではテレビの情報番組がよく流れていた。別にテレビはそこまですごく好きなわけではなかった。同じ作品であっても、だいたいの場合アニメより漫画の方が好きだった。漫画の中でも、その頃は少年漫画の方が好きになりつつあった。小学生の頃はちゃおなどの少女漫画もよく読んでいたが、高学年の時に『名探偵コナン』を好きになった。既に5~60巻出ていたので、集めるのはかなり大変だった。でも好きだった。
 中学校では部活は漫画イラスト部に入った。絵を描くのは好きだった。時は華やかなりし嵐の絶頂期、花より男子、Love so sweet、周りにも当然のようにアイドルが好きな友達はたくさんいたけれど、母はSMAPをお茶の間から応援していたけれど、別に自分はそこまで関心はなかった。
 だから、その朝テレビの情報番組で流れていたどこかのグループの結成会見も、多分大して熱心には見ないで、映像が流れているのを尻目に急いで準備して、慌ただしく中学校に行ってしまったのだろう。あまり覚えていない。自分と同い年の子がいるんだな、まだ子どもなのに……と思ったのは、覚えている。


 高校生の時は自転車通学だった。小学校から一緒の友人もいたが、彼女は電車通学で、一緒に帰れる事はたまにしかなかった。
 そのたまにしかない機会に一度、彼女が今ハマっているアイドルグループの話をされたのは結構はっきりと覚えている。パート割が偏っているだの、メンバーなのにジャケットに写らなくなっただの、大変そうだなあと思いながら聞いていた。その子に限った話ではないが、何かにハマるって、「推し」の話をする時の熱量って、自分の「好き」とはとてもギャップがあるなと思っていた。


 気付いたら名探偵コナンの巻数は90巻を突破していた。最初に集め始めてから結構な時が経っているのに相変わらず好きだったが、どこか自分の中で「好きなもの」として紹介するのは良くても、「ハマっているもの」として他人に紹介するのにしっくり来ていなかった。他人から見るとハマっていると思われるんだろうな、とは思うが、自分の認識としてはどこか違う気がしていた。好きだけど、ハマっているわけではない、この感覚はなんだろうかと考えていた。
 でも好きなもの、好きなエンタメは他にもあるし、別にいいか、と思っていた。歌い手のCDを買った時は、まさかこの私がCDを買う事になるとは……とちょっと感慨深かった。
 その歌い手をきっかけに、三次元の顔が綺麗な人に対する関心が高まったように思う。相変わらずドラマなどはほとんど観ていなかったが、すごく好きな顔の男の子が主演していた刑事モノなんかは母が観ていて、かわいいな~と思った。


 暇つぶしに、Twitterで友人が思い思いに自分の好きなものや気に入ったものを投稿しているのを眺める事が多かった。漫画やアニメ、映画やドラマ、顔の良い人、面白い動画。
 ある友人は嵐の活動休止に伴い、最後の活動を追う中で怒涛の勢いでその情報をRTしていた。意識せずとも目についたそれらは、好きだった漫画『君と僕。』を思い起こさせるようなわちゃわちゃしたやり取りで、自然と嵐やジャニーズに対する好感度も上がっていった。冠番組も時々観るようになったし、CDや円盤を借りて観たりもした。友人は「嵐の後輩として好感を持って応援してる子たちもいる、嵐と同じ五人組」とも言っていた。
 またある日、RTで回ってきて目に入った動画は、どうもCMらしかった。今どきお客様は神様ですなんて前時代的だろうに、お客様はお姫様と出たか……と思いながら観ていたら、最後に恐ろしく顔の良い王子様の恰好をした男の子がおじさまを抱き上げて、おじさまが嬉しそうにして終わった。衝撃だった。そりゃ話題になるわと思った。この男の子はとても好きな顔をしているなとも思った。
 嵐にしやがれの後に続いていた未満警察というドラマを流れで数度観ていたら、やっぱり主演は中島健人。主題歌も頭に残る良い歌だな、と気に入った。
 ジャニーズの中島さん、そういえば前に読んでいたちゃおで名前を見かけたような気がする。ジャニーズのアイドルの活動を少女漫画化した作品があるのは知っていたし、写真も載っていたような気がする。好みの顔の人だなと思った記憶がある。しかし、あの中島さんはHey!Say!JUMPの人だったような……。
 時は年末、今度のテレビの音楽特番に嵐が出て、それに中島健人の所属するSexy Zoneが出るらしいと知った。音楽特番なんてほとんど観たことがなかったが、なんとなく観てみようかなと思った。出るのはFNS歌謡祭という番組らしかった。

 


 2020年12月9日20時35分、FNS歌謡祭、Sexy Zone『NOT FOUND』、聴いた時、観た時のあの衝撃を、忘れる事はないだろう。

 


 シングル『NOT FOUND』は既に発売日から少し期間があいていたので、買い方を調べるところから始めなくてはいけなかった。アイドルのCDとはどういう風に買うのが良いのか分からず、初回限定盤Bが良いと聞いたが売り切れで、初回限定盤Aを買った。わくわくしながらCDをセットした光景はよく覚えている。
 同時に買ったアルバム『XYZ-repainting』は曲がとても好きだった。一番好きだったのは「フィルター越しに見た空の青」だった。当時、ハマっている、と言える音楽がなかったところに、ぴたりと寄り添ってきた曲だった。
 そしてアルバム『XYZ-repainting』の特典として付いてきた映像、葉山鎌倉旅に向かう道中、文明開化の音がした瞬間、面白いものを見つけた!と感じた。なんだか面白いものを見つけた、Sexy Zone、ちょっと掘ってみるか、と。


 ちょっと掘ってみるか、の後のことは、実はあまり覚えていない。コロナでお金の使い所がなかったのも影響したか、気が付いたら、2021年2月〜4月のクレジットカード請求がセクゾ関連の支出だけで毎月10万円を超えていた。気が付いたら手元にはCDやBDが揃っていっていた。ひたすらシングルやアルバムの初回限定盤Bを買い、バラエティを観て大好きなわちゃわちゃを楽しんだ。

 『Sexy Zone POP×STEP!? tour 2020』をすぐに予約していたが、一番最初に観たのは『SEXY ZONE Repainting tour 2018』だったのは鮮明に覚えている。歌い手のライブに行ったり、友人に借りた嵐のライブ円盤を観たりした事があったので、「コンサートとはこういうもの」という認識はあったつもりだったが、Sexy Zoneのコンサートはそのどれとも(当たり前だが)違った。

 コンセプトを語るマリウスの朗読、何も知らないながらに意図を感じる曲の並び、漫画を好きな人間として、考察魂をくすぐられる仕掛け。『PEACH!!』のあの頃友人がやっていた乙女ゲーム感。やっぱり『フィルター越しに見た空の青』は大好きだった。勝利くんの口上を聞いた時、何かを掴まれた気がした。

 


 またその頃、コロナ禍の自粛期間真っ只中に公開されたというSmile Up Projectを観て、健人くんのあまりの心配りに胸を掴まれた。誰もが気軽に会えなくなっていたあの時。一緒に夕食を食べる動画を観て当時孤独な一人暮らしをしていた友人を思い出し、カレーの飾り付けをしている動画を観ては給食時間中ずっと黙食を強いられている近所の小学生を思い浮かべた。
 YouTubeにとどまらず、ハッシュタグを生み出してTwitterにまで企画を広げる手腕は天才だと思った。いや、天才、と軽々しく形容できないかもしれない。
 思えば、自分の意志を曲げない人が昔からずっと好きだった。小学生の頃から好きだった名探偵コナンでも、主人公の江戸川コナンの、ただただ探偵になりたいという思いをまっすぐ貫くところが、好きだった。よく「天才」というイメージを持たれがちだが、彼はライバルの怪盗キッドと違って作中で天才アピールをされる事はあまり多くはない。ただ生まれ持った才能を消費するのではなく、与えられた才能をひたむきに磨き続けてここまで辿り着いたところが、好きだった。

 これって、健人くんだと思った。もちろん元々の素晴らしい才能を持っているけれど、何もしなければ埋もれていくだけだっただろうその才能に、夢を持って水をやって育ててきた人なのだと感じていた。
 好きな顔も声も心配りも何もかも備えている人生で初めて"推し"と呼べると思った人に、子どもの頃から大好きだった作品が繋がっていた。ハマっている、という自認を持てなかった作品でも、こうして。

 

 ちなみに少し気にかかっていた、ちゃおのグラビアに載っていた「好みの顔の中島さん」は、Hey!Say!JUMPの中島さんではなく、当時山田くんや知念くんと一緒にNYC boysとして出ていた(が為にJUMPと混同してしまっていたのだ)、中島健人くんだった。

 健人くんとは小学生の頃に既に出会っていて、その頃から顔が好きだな、と思っていたのである。運命の出会いだなって騒ぐ事ってほとんどないけど、これって運命じゃん。


 こうして、自分は中島健人が大好きで、Sexy Zoneを推したいと思っている、という自認を持つようになった。なぜ"推している"ではなかったかというと、菊池風磨
 基本的には素直な子が好きだが、あまりにも率直に態度に出していると「今はもうちょっと違う態度のほうがいいのではないか」とハラハラしてしまうので、なんとなく苦手な感覚があった。
 昔そういえば母と観ていたSMAP再現ドラマに、木村くんを演じていた健人くんと一緒に出て慎吾くんを演じ、お母さんの後ろに隠れていたあのちっちゃい子。後から少クラやセクチャンなどの映像を追っていると、いかにも反抗期!な姿を観る機会が多く、苦手意識が強まっていったように思う。

 SZ10THアプリで配信されたスペシャルボイス「Sexy Zoneと言えば?」を聴いたのはそんな頃だった。毎週メンバー一人ずつがテーマに沿った選曲をして流してくれるこのコーナーで、「Sexy Zoneと言えば」で風磨くんが挙げたのは、『Sexy Zone』『Lady ダイヤモンド』『Sexy Summerに雪が降る』。
 最初こそ「1st〜3rdまで適当に挙げただけか」と思ったのは否定できない。でも、あのスカして見える風磨くんが、グループの一番核になる曲としてこの初期の曲を挙げた意味を受け止めるべきだ、と感じた。

 最初のシングル三つは、これからのグループを表す象徴・本質としての一曲目、それを受けてこれから見せていきたい方向性(正統派のキラキラ感)を表した二曲目、そしてキャッチーで印象に残る三曲目……という立ち位置なのだろうな、と感じていた。その自分の感覚が、風磨くんと一致している。この人はこの三曲がグループの根幹だと認識した上で、これからのSexy Zoneを見せていこうとしている。
 この人は、ちゃんとSexy Zoneというグループをしっかりと見据えている。考えている。大事にしている。
 スマホを握りしめながらそれを信じられたあの瞬間、Sexy Zoneのこと全てを信じられたような気がしたのだ。

 

 

 

 

 

 

おまけ:

「ハマっている」「ハマっていない」の感覚の線引きについて、インタビュー後にakariさんからご自身の感覚についての考察をいただきました。なるほどなあ、と納得したので、最後に載せておきます。(掲載許可済)

 

↓↓


こんばんは。
先程のインタビューの際にハマったコンテンツはSexy Zoneだけと言い切れるといった根拠について考えてみたのですが、下記のように帰結しましたので原稿をまとめる際の参考になればと思いご報告いたします。
私の中の「ハマる」「ハマってない」の境界線はそのコンテンツに触れたときに生まれたものをなにかしらの形にしようとするか否かなんだと思います。


周囲にはハマっていたものはコナンでしょと言われたにもかかわらず自分としてはなぜかハマったと言い切れなかったのは、コンテンツを楽しむだけで終わっていたからなんですよね。
楽しんだコンテンツに対して感想を文章としてまとめたりとか、二次創作とか、ファンアートの作成とかを一切していなかったです。自分の中に留めるだけ、もしくは友人にここが好きなんですよって語るくらい(なかなかに迷惑な奴です笑)。
それに対してSexy Zoneは、Sexy Zoneというグループの歴史、5人の関係性、パフォーマンスについて、ライブについての感想などを文章にしてまとめたり(ツイートしたり)、ファンアートを描いたりしています。しかもSNSでのコミュニーケーションへの苦手意識があるのにわざわざ専用垢を作ってまでです。


以上のことから、そのコンテンツに触れて生まれたものを形にしたいと思えるか否か、実際に行動に移すか否かが私の中での「ハマる」の境界線なのかなという結論に達しました。
ちなみに、話すことでの感想のハードルはバリ低いのでハマるときの基準にはいれてないです笑

 

 

次回↓