三ヶ月坊主

個人的嗜好をSexyと戦わせるゆるオタク

五人と四人

 私がSexy Zoneに出会ったのは、松島聡くんが休養に入った本当に直後の事だった。ドラマ『ドロ刑』で中島健人くんの存在を知り、アイドルだという事を知り、主題歌ええやんと思い始め、今度音楽特番に出るらしいから観ようか、と思って観た2018年11月末のBest Artist、その日が聡くん休養発表後初めてSexy Zoneがパフォーマンスする日だったというのを、その時の私はよく分かっていなかった。

 

 以来、2020年8月に聡くんが復帰するまでの間、私が五人のSexy Zoneに触れる事ができるのは過去映像越しでしかなかった。でも、その映像を観る事と、五人の情報を文字で読む事と、彼らの口から語られる五人の話を聴く事で、私は五人のSexy Zoneの奇跡的になバランスに夢中になった。いつか揃う日が待ち遠しくてならなかった。こんなに空想を膨らませて大丈夫だろうかと、ちょこちょこ冷静になるように努めてはいた。

 

 私が出会った時には既に聡くんを欠いた四人になっていたSexy Zoneは、実は一人一人めちゃくちゃ魅力的だったので、まだ見ぬ五人への空想とはまた別に、どんどんとSexy Zoneの活動を追うようになっていた。CDを買ってコンサートに行って音楽番組を観るのは楽しかった。自分の記憶に、メンバーの面白い発言や美しい姿が少しずつ増えていくのは最高だった。

 

 その状態で聡くんが復帰した日を迎え、FC動画で初めてリアルタイムで動く五人を観た時、しっくりきた。これこれ、これだよと思った。ちょうどお盆休み期間だった事もあり自分のラジオ日記を録って酒をバカ飲みして残り二日の休みをまるまる棒に振る人生で一番ひどい*1二日酔いに陥ったのもいい思い出だ。今までたくさん四人の姿を追いかけてきたけれど、これから五人の姿をたくさん知っていける、とわくわくした。

 それから約三ヶ月弱、雑誌の表紙もポプステもNOT FOUNDも、観れば観るほど、二年近くしたいだけ自由に膨らませていた空想を軽々と超えていって、無敵の五人だ、と思った。

 

 マリウスが休養に入った時、無敵の五人がしばらく観れなくなった残念さはあれど、実はあまり心配はしていなかった。もちろん直近の体調不良については心配だったが、その原因が学業との両立の大変さにあるのであれば、一度芸能活動を休止して今マリウスがやりたい事に専念してたくさんの事を吸収するのは悪い事には思えなかった。いつか吸収した事をたくさんたくさん教えてくれ、と願っていた。

 

 マリウスがいない間、四人のSexy Zoneが出す曲もMVも好みドンピシャで、コンサートもますます洗練されていき、個々の活躍もあり、追いかけ始めた頃とはまた違う楽しい日々が待っていた。こりゃマリウスが戻ってきた時は大変だろうけどまあ絶対マリウスもその分でっかくなっているだろうから大丈夫だな、と根拠はなかったが確信していた。

 

 私の確信は当たったが、残念ながら願いはすぐには叶わない事になった。2022年12月27日、久々に観たマリウスのいるSexy Zoneはやっぱりとてもしっくりきた。でもその姿は年が明けたらもう観られないのだという。マリウスがこの二年間で得たものを知ることは、少なくともしばらくはできないだろう。でも最後に無敵の五人が揃ったところを観る事ができて、本当に良かった。実は私たちはドーム公演をマリウスとも一緒に五人で過ごしていた事を教えてくれて、本当に良かった。この奇跡的な五日間を叶えるために奔走してくれた全ての人に感謝している。

 ポプステで聡ちゃんが戻ってきた時、風磨くんは「五つのピースが揃いました」と言った。五つのピースが揃って完成するのがSexy Zoneならば、これから先の四人のSexy Zoneは永遠に埋まる事のない欠落を抱えていく事になるのだろう。私たちファンは、その欠落ごと愛していく事になるのだろう。

 

 音楽が記憶に深く結びつく事を、私はよく知っているつもりだ。学生の頃にオーケストラでやった曲を今再びやると、演奏するあの頃の友人の姿が見えるような気が、あの頃の記憶と一緒に演奏しているような気がする事がある*2。マリウスの卒業が発表された時、風磨くんも似たような事をコメントしていた。これから先、マリウスがいた頃の曲をやる度にマリウスの事を思い出すだろうと。記憶と歌い踊る四人の笑顔もきっと美しいから、欠落も愛していけるだろう。

 

 ステージからではなくても、これからのマリウスはでっかい夢を叶えてきっとどこからか便りを聞かせてくれるだろうから、それを楽しみにしようと思う。マリウスの今後の人生で何かつらい事があった時、私たちが灯し続けたオレンジのペンライトの景色が彼の心の支えになる瞬間が一瞬でもあったなら、待ち続けたこの二年間が全て報われる気がする。

 寂しい気持ちは止められないが、この五日間の記憶を薄く薄く引き伸ばしていつまでも縋ってはいたくないから、これからの四人が欠落を抱えながら見せてくれる景色を楽しみにしようと思う。四人が見せてくれるものは素晴らしいんだという事を、この二年間ずっと証明し続けてもらったから、不安はない。

 

 

 

 年が明けてしまえば、もう二度と五人揃ったステージが観られないという事実が、こんなにも寂しい。

*1:未だに破られていない。

*2:めちゃくちゃ余談だが、こうやって記憶に浸りすぎると今現実に自分の目の前で必死に曲をコントロールしようとしている指揮者をガン無視する事に繋がりかねないので、演奏上はあまり良くない現象である。ついついあの頃の身に染み付いたテンポでやっちゃって怒られるのはあるあるだったりする。