三ヶ月坊主

個人的嗜好をSexyと戦わせるゆるオタク

『ChapterⅡ』全曲感想

公演入るまでに全曲書き終わりたかったんですが間に合わず…!後で追記します!

(2023/6/19追記)

 

前編↓

 

・Cream

 前編でも触れた通り、セクゾ史上初めてアルバムの最初を飾ったシングル曲。そこにどんな意図があるのかは前編で推測し(ようとしてしきれなかっ)たので置いておいて、少しの寂しさとそれを包み込むぐらいのでっかい幸福感に溢れていてめちゃくちゃ好きな曲である。

 


・EXTACY LUV

 今回のこんなん嫌いなオタクいないじゃん枠だと思う(前回は方向性はだいぶ違うけど個人的にはEliminator)*1。口笛なんて大好きに決まってんだから。今回のアルバムを頭から聴いていくと一番最初にぶち当たるアルバム新曲、しかも今回はリード曲であるPurple Rainより先にぶち当たる曲なので、この曲のイメージでChapterⅡというアルバムの方向性がかなり決定付けられると思うのだが、見事に"今回のアルバムは夜"というイメージを我々に植え付けて去っていく。

 もう健人くんの歌い出しから良いよね。Bメロのベースのカッティング?タッピング?なんていうのこれ?大好きです。聡さんの巻き舌もエグい。あとサビってもしかして勝利さんオク下ですかね。そうだとありがたいです。

 


・Purple Rain

 最初に聴いた時、BEAT CRUSADERS*2を好んで聴いていた中学時代が走馬灯のごとく脳裏をよぎって泣きそうになりました……が、残念ながら好きなアーティストのルーツをちゃんと掘るタイプではなかったので、元ネタである洋楽は全然わかんないんですよね。とにかく泣きそうになってた事だけ残しとこうと思います。サビの最後で解決するところとかね……

 何はともあれめちゃくちゃ振付が好き。ロマン⭐︎ティックのとこは変身ポーズみありありで本当にワクワクする。曲調も、Forever Goldと共通する製作陣・同じく昔のアメリカを彷彿とさせるコンセプトながら、ここまで昼/夜のイメージに差別化できるのか……とビビった。

 


・Stolen Heart

 カワイイ〜〜……浮遊感のあるオシャレな曲調でありながらカワイイ事ってできるんだ……歌詞はちょっと気弱で"君"が大好きな子のお話で、世界観や方向性としてはかなり初期の、ワンセクあたりまで遡ってもいいかもしれない。あの頃の子どもがそのまままっすぐな気持ちを抱いたまま大人になっている感……

 アルバム上は連続した曲順になっていないが、この後の『泡』あたりとも共通したポコポコ弾けるような音が心地良い。これまでのセクゾのアルバムであれば『泡』と連続させていたのでは?と思うが、敢えて(?)離したことで前編で触れたようなこのアルバムの雑多さが生まれているような気がする。地味にこのアルバムのイメージを決定付ける重要な曲順なのかもしれない。

 


・BUMP

 これのタイトルJUMPだったってマ?(マ)初めて聴いた瞬間からコンサートで聴くのが楽しみすぎて床踏み抜く勢いでした。こういう明らかにライブ盛り上げ担当大臣みたいな楽曲がアルバムに1曲入れられるようになったのって前作ザ・ハイライトの『Freak your body』からのイメージがあるんですが、それと比較してもイントロが壮大すぎて最初に聴いた時なんかの映画始まった?と思った。

 ドゥンダッドゥンドゥンドゥダッのとこはEXTACY LUVの口笛とタメ張るぐらい嫌いなオタクおらんやろポイント高いと思う。あと一番最後に声だけが残るとこ、あそこの声の重なりが美しすぎて最高。こんだけ盛り上げておいて最後美しいんかい!

 


・泡

 イントロの弾ける音、これなんの楽器なんだろう。ここの時点で最高。歌詞の世界観がこれまでのセクシーにはなかった感じで、こういう事があるからやはりアーティスト提供曲はおもしれえ……となった。もうこんなん大人のための聴く絵本じゃん。ベースの入ってきかたも実にさりげなくて良い。

 サビの"take me take me"の切ない高音から始まって降りてくる感じが、水の底から空を仰ぎ見るような気持ちにさせられて、哀しいような心地いいような不思議な感覚になる。ぷかぷかと漂ったかと思えば水底に沈むようなこの感覚を表現できる音楽、やばいな……

 


・Message

 アニメED感のすごいこの曲、「This is a message for our days…Glory days」とある通り、これまでのセクシーの歩みに寄り添ったような、タイトル通りのメッセージがまっすぐ胸を打つ。「あの日の夢の続き」の"夢"が何を指すのかは分からないけども、『Dream』で締め括った去年のコンサート群を思い出して涙ホロリした。

 あと曲調もストレートでとても良い。合唱曲風にアレンジして全国の小学校とかで歌ってほしい。

 


・Take A New Step

 もう"アイドル"の日本語訳は"確信犯的救世主"にしようよ。この曲を「一番アイドルらしい曲」と評した聡ちゃんマジ信じられ聡ちゃん。ダンスのステップが目に浮かぶような、浮き立つような曲調も良い。

 『Message』でこれまでの歩みを肯定した後にこの曲が来る曲順もいいよね。不安を吹っ飛ばしてウキウキとどこまでも前に進んでいけそうな高揚感、幸福感。早くパフォーマンス観てえ〜〜!!!

 


・Make You Mine

 俺…(当時)ガキだから難しい事は分かんねえけどよ…要するにコナンのアニメEDって事だよな…?となってアルバム発売直後ぐらいにTwitter検索して↓になった同志を探しています。この謎鳥本当に腹立つ。Twitterのアイコンの鳥のなれの果てって事?こわ

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 幼心に90年代末の事を思い出そうとすると、なんだか全てに少しだけ暗い影を感じるのは後世フィルターでしょうか。ラブマだって影の反動であんな感じになってると思ってるからね。この『Make You Mine』にはもうそんな感じの時代の空気感が色濃く漂っているような気がする。夜の街……無駄に瀟洒な造りのビル……猥雑なネオンサイン……あの頃のマックの安い油の臭い……雨に滲む車のライト……洗い流される吐瀉物……道端に打ち捨てられたジャンプ……鮮やかな色の傘……浮き上がる君の後ろ姿……

 


・Sad World

 『Make You Mine』から更に影の色を濃くして、いよいよ寂しさの中に沈んでいくような楽曲。『Make You Mine』もそうだし、もっと遡れば『Purple Rain』『泡』など何かと水や雨の気配を感じさせる楽曲がこのアルバムは多い気がする。梅雨だからそう感じてるだけかもしれないが、前編でも触れたアルバム曲ダイジェスト動画でもこの『Sad World』あたりは背景が雨の風景になっていたので、ある程度はわざとなんだろうな。

 夜を描くこのアルバムにおいて、この曲はぐるぐると考え込んでしまう"眠れない夜"を具現化したような曲だなと感じた。ここで一度沈み込むから、次が映えるんだよな。

 


・Trust Me, Trust You.

 この曲順で聴くトラトラ、カタルシスが気持ち良すぎるな……最初から『Sad World』とセットで作った?と聞きたくなるぐらい好き。

 もちろんシングル単体の時点でも、最後に一筋差し込む希望の光のようなものは感じられたんだけど、あくまで静かに終わった『Sad World』との対比でこの曲の持つ光の側面がより強調されていて最高。

 


・再会の合図

 前編でも触れた通り、ここまで曲調的にはシリアスめにきていたのでここで!?!?wwwwという感じにはなるんだけども、『Make You Mine』あたりからずっと描かれていた執着のような絆が徐々に友情へとグラデーションで収束していってここで爆発すると捉えると、必然的な曲順なんだよな。ここに関しては曲調の繋がりよりも歌詞の繋がりを重視したのかなと感じた。

 健人さんのジジイになっても〜!のとこがね、好きでね……あと聡ちゃんのちょっとがなり入れた感じの歌声が新鮮。

 


・長電話

 こういうテーマの曲ができるのってまさに今!だよな〜と思った。親元から離れてしばらく経って、実家の親とのやり取りも定型化してきて……という年代にセクシー達がなったからこそのこの曲。

「泣いたら笑ってくれた事も覚えてないけど」は赤ん坊の頃を指していると思うのだが、セクシー達が赤ん坊の頃っていつだ?と考えてみると全員90年代で、このアルバムの主な時代感もおそらく90年代あたりを想定していて……

 


・せめて夢の中でだけは君を抱きしめて眠りたい

 JRのスキーのCMだ!!!!!スキー場のリフトのとこの音質ガッサガサのスピーカーで宇多田ヒカルとこの曲しか備え付けのCDないんかレベルで交互に流れてたやつだ!!!!!と謎の興奮をしてしまいました。学生の時にこの曲を吹奏楽アレンジして演奏したら父兄から大好評だったない記憶がある*3

 休みの日に親に車で少し遠いプール施設まで連れていってもらって、ひとしきりはしゃいだ帰り道に車の中で流れていてうとうとしながら聴いていた幼い頃の記憶もある。曲が終わったら何も流れなくなってしまって、助手席の母がカーステレオからCDを取り出して、たくさんCDが入ったボックスにしまって次のCDを選んでいて、えっChapterⅡってあの時車の中で聴いていたCDだったのか……?

 


雨に唄えば

 好きすぎた……アプリで通常盤を聴いていると上記『せめて夢の中〜』でノスタルジーに浸った直後にやってくるのでもうすごい。これ以上浸らせないでくれ。

 勝利くんの歌声が、ゆるっとした曲調・素朴な歌詞にドンピシャすぎて最高。勝利くんは「あんまりメッセージ性を感じすぎないで」的な事を言っていたが、ふわふわ聴いていても自分の幼い頃と重ね合わせてしまうし、ラスサビで舞台の真ん中に立つ勝利くんのことを思い浮かべてちょっと泣きそうになる。この"ちょっと"感がまたいいんだよな、この曲。

 


・My World

 はわわ…………そんな…………こんな…………になった初聴時のインパクト。どちらかというとサウンド的には洒落感を重視してきた近年のソロ曲群から、ここにきてこんなゴリゴリ重低音ドーン!!!強い意志バーン!!!な曲が来るとは…………

 その人の生命力を削って振りまかれる煌めきはアイドルがどうしても我々を惹きつけてしまう理由になる魅力の一つだと思うが、風磨くんのこの曲の場合、「身を削って」「魂を削って」といった言葉の方が似合いそうな、深く切実な何かが感じられて慄いてしまう。この先に何があるんだろう。

 

・Turbulence

 Mermaidから実に5年振りの聡ちゃんのソロ曲で、今の聡ちゃんがやりたい事を詰め込んだであろう意欲作。曲調がそれこそ乱気流のごとく移り変わりドキドキする。聡ちゃんの中にはカッコいい聡さんとカワイイ聡ちゃんがいるのは周知の通りですが、『Turbulence』を聴いてカッコいい聡さんって200色あんねんになった。

 というか今回のアルバムで特に顕著だけど、聡ちゃんの歌い方がどんどん多彩になってきている気がする。

 

・ROSSO

 赤ワイン飲みながらBLUE NOTE TOKYOまたはBillboard Live 東京で生演奏で聴かせてほしすぎて暴れかけたがそんな事したらその日が命日になりかねないのでやめておいた方が安全。私がピアノ自信人(じしんちゅ)なら絶対絶対やってた。メロディーにいっぱい♭が付いてる事だけは把握しています。

 提供いただいたPenthouse・浪岡さんとの制作が本当に楽しかったようで各媒体で話していて、その中で「メロディーが一番生きる歌い方を研究した、7時間かかった」みたいな事を言っていたが、その甲斐あって健人くんの声という楽器がアドリブ演奏のごとく自由に音の中を這い回り、メロディーと絡み合い溶け合いとんでもない事になっている。マジで聴いてほしい。

*1:私の「嫌いなオタクいないじゃん」枠は「他のユニット(次元問わず)でカバーしてもハマりそう」という観点が入ってるかもしれない。EXTACY LUVの場合はあんスタのオタクだったらカバーさせたいユニット秒でいっぱい出てくるなと思いました。

*2:以前に「セクシーに歌ってほしいBEAT CRUSADERS」なる怪文書を残してしまいました。バンド自体の紹介はそちらをご覧ください。

*3:多分本来は米米CLUB浪漫飛行あたりの記憶である。