三ヶ月坊主

個人的嗜好をSexyと戦わせるゆるオタク

2023/09/14 06:20〜07:08

 自分で思うよりずっと、リップモンスターの広告掲示が停止になったのが堪えたようで、MVを観ながら涙が出てしまったり、胸の奥が搾られているような感覚が続いていたりで相当ストレスがたまっているようなので、現時点で考えていること・思っていることを吐き出しておく事にした。ただのオタクの現時点での個人的所感であり、特に議論やご意見は求めていないのでそれを前提に読んでいただければ幸いである。今後自分が見ていくものによって、ここから意見が変わっていく可能性も当然ある。あと内容は別にまとまっていないので、繋がりが悪かったり途切れたりしている。

 

 まず最初に、性加害に対して憤り被害者に対して補償がなされてほしい気持ちと、応援しているタレントが努力と研鑽の果てに掴んだ仕事を奪われていくのを見せられ続けて消沈する気持ちは両立する、というのが大前提としてある。

 

 性加害は、(非常にデリケートな問題で素人な部外者のオタクが無責任に言及するべきではないというのは勿論承知しているが個人の印象としては、)きっとあったのだろうと思う。かなり時間が経過している被害者も多い中、証拠がなく証言でしか立証ができないのは仕方のない事だと思う。そもそも性被害者に証拠を要求できるものなのかも分からない。もし万が一証言を誇張したり被害を受けていない人が紛れていたとしても、多くの人が名乗り出ている中、全員がそうなわけはないだろう。被害者の人数は問題ではなく、一人でも被害者がいるのなら、タレントたちが愛した、私が応援するグループを作り出してくれたジャニーさんは、加害者だ、と思う。以下ではジャニーさんを元代表と表記する。前代表だとジュリーさんの事になっちゃうからね、いまや。

 

 元代表を加害者として私が認識している今、次に問題になるのは、私がジャニーズ事務所に所属するタレントを応援する事で性加害に加担していた事になるのか、という点だ。自分の支払っていた金銭が事務所に渡る事で、隠蔽を促進していた事になるのかどうかだ。実は私はここがまだぴんときていない。

 私がSexy Zoneを応援し始めたのは2019年正月前後なので、元代表が亡くなるまでのおよそ半年間は重複している。事務所の他のグループの事はあまり知らなかったので、事務所を応援している感覚はなかった(別に今もないが)。タレントが時々話題に出す代表のおじいちゃん、ぐらいの親しみはあった。さすがに重病で闘病中だったこの晩年の時期に性加害を起こしていたとは個人的には考えにくいので、私の認識上、あくまでファンという立場では…であるが、性加害を起こしている時期には触れてこなかった事になる。だからなんだという話だが、それが私の実感を奪っているような気がしている。

 私は現時点では、あくまで直接的な加害者は元代表個人であり、事務所の罪はそれを隠蔽してきた事である、という考えでいる。事務所の社員が云々…という一部報道もあったが、それは事務所が現時点で認定していないので考慮しない。もし元代表の個人的な加害に私たちファンが加担し得るとしたら、事務所に所属して活躍することでファンの私たちによる色々なもの…応援であり憧憬であり金銭であり時に恋情でありとにかくキャーとしか表現できない本当に色々なもの…が得られる、という魅力を供与する事だろう。ただ、それって何も、何も悪い事ではない。あのキャーを勝手に悪用したのは加害者だ。ナイフの製造者が責められる事がないように、元代表個人の加害に関しては、私たちファンが責められる謂れはないと思う。

 では事務所に対してはどうだろう。事務所の隠蔽に加担したかどうか。これも私の実感としてはないのだ。だって生まれた時からあの事務所はああいう感じで、そういうものだとメディアも社会もしていたからだ。むしろ私がSexy Zoneを応援し始めたあたり、元代表が亡くなって以降、体制が変わったり、新しい取り組みを始めたりしているのを感じていた。現体制下で表に出てきている人たちに、性加害の隠蔽を直接意図してやった人がいるような気がどうもしないのだ。ブラック企業に勤めていて明確な力関係の下にあった社員側に、なんで体制を告発しなかったんだ、と責めたりしないでしょ、という感覚。絶対的なトップ層が隠蔽をしていて、それ以下の社員タレント一同がもしそれを知る機会があったとしても、いったい何ができたというのだろう。ましてや告発したとしてもメディアによって黙殺される事が実証されている状態で。メディアにそうするよう根回しをした人物たちは、今はもう亡くなっていたり辞めていたりするとされている。

 

 被害者に対する補償は元代表が築いた財産である事務所から行うというのは理にかなっていると思うので、そこに対する異論はない。それは現体制が実際に加担していたかどうかに関わらず、その財産をもってすべきだろうと思う。

 今後二度とこういう事が起きないような風通しのいい環境作りや、現在所属しているタレントへのケアも、今の事務所が率先して行っていくべきだと思う。別に今回の事例がジャニーズ事務所に限った話だとは思わない。一般社会よりも起こりやすい構造になっているとは思うが、芸能界だけの話だとも思わない。社会全体に、こういう事例があった際の再発防止体制の整え方としてモデルケースになるようなものを示してもらえればありがたい限りだ。

 事務所の名称も、最終的には変えたほうが良いと思う。当然グループ名含む商標などの手続きに膨大な時間と費用がかかるし、そもそもグループとファンとの合意形成と最低限納得のいく代替案ができてからが望ましいのですぐにというのはまず無理だが、姿勢としてはそういう方向にあった方が良いと思う。

 私が望むのは上記3点だ。会見からは、1点目は伝わってきた。2点目は姿勢は見えたが、見せ方はあまり良くなかった気がする。外部の人間に断られまくって現実的に難しかったのだろうが、上層部の刷新感はなかった。断られまくったので一時的にこうします、刷新していきたいという姿勢はあります、というのは見せた方が良かったんじゃないかなと思う。3点目は姿勢というか方針だけは見せてほしかった。すぐには難しいという説明付きで。

 全体的に、具体的に実施するのはもう少し待ってほしいがこうしていくよ!というメッセージは感じられた。不足している部分はあった。と思う。

 

 会見を受けて、次々と大企業がCMを中止している。性加害は許されないものであり、補償とガバナンス改革が実施されるまでは取引を控える、とする意見が中心だ。ごもっともだと思う。後者については、このラインの改善がなされるまでは…という線引きまでもう少し具体的に示したほうが良いと思うが(全てに目を通してはいないので、具体的に示している企業があれば申し訳ない)。一方的に取引を停止するのだから、もしそれが一時的なものであるという前提なのであれば、そこまでを示す責任は取引先に対してはあると思う。我々一消費者に対しては特にないと思うので(社会へのメッセージとしてはあった方が良いけど)、もしかしたら事務所には直接示しているのかもしれない。

 もし補償がされようがガバナンス改革がなされようがただただイメージが悪いうちは今後の取引はしない、というのが本音なのであれば、綺麗事言ってないでそれを言えや、という気持ちは一消費者としてはある。広告塔に起用しているタレント個人が悪い事をしていないのは承知の上で何となくイメージが悪くなったから切ります、とはっきり言え、と。別にそれは営利団体である企業が持つビジネス上の権利だ。自分たちの都合で確実に加害者ではないタレントの仕事を奪います、というのはビジネス上特に問題はないので、そう表明すれば良い。

 

 今回の問題の本質を改善するには、とにかくタレントを起用せず、事務所に利益が渡らないようにすべし、というのが世間の風潮のように感じられてならないが、それは違うだろうと私は思ってしまう。それでは補償も、今後こういった事が起きないようにするための体制作りも進まない。進めるための金銭が事務所に渡らない。これまでの利益で何とかしろと言われるかもしれないが、それでは現在のタレントや職員の活動に影響を及ぼし、いずれにせよ安定的な補償やそのための調査、体制作りには繋がらない。社会全体がより良くなるチャンスには繋がらない。

 改善を促しつつ、そのために一時的な見合わせが発生するのは致し方ないが、基本的にはこれまで通りの経済活動を事務所にはさせるべきなんじゃないか、と私は思っている。直接性加害をした人間やその隠蔽を図った人間は罰せられるべきだが、現体制の中にいるそうでない人々には、過去の被害者への補償と、未来の体制作りに邁進してもらうべきだと思っている。

 

 長くなったが、ここまでが犯罪に対して憤り、事務所にこういう対応をしてほしいなという気持ちの部分。ここからが、ただただ努力と研鑽とその人間性で掴み取ってきた仕事を…しかもその掴み取る過程も間接的に見せてもらっている仕事を…本人に責任の全く無い事が原因でただただ奪われている今の事態に対する嘆きの部分になる。

 

 リップモンスターの広告が解禁された時、彼がこれまで積み上げてきた美しさ、美しくあろうとする事に対する(男女を問わない)スタンス、自身が作詞作曲したソロ曲のコンセプト、コンサートで毎回のようにそのアイテムを身につけていたという伏線撒きのうまさ、そういったあらゆる要素が噛み合ったまさに最高の広告だと思った。コンサート会場に合わせた最初の掲示場所からの全国展開時に、彼が脱走したような演出を加えてワクワク感を煽る手法も天才だと思った。CM映像も彼の美しさ強さが一瞬で十二分に伝わり、ブランドイメージともぴったり合致していて、これを作るのに関わった全ての人が鼻が高いだろうと思った。

 それが、あっという間に消えた。CMはYouTubeからも削除され、HPにもあのイメージ画像は掲載されていない。契約自体は残されているので、前述のうち「あくまで一時的な停止」という前提のもとに対応をしているほうの企業だと私は信じているが、現時点ではあの最高の広告がどこにも*1存在しないのは確かだ。なんて損失だろう。彼の在り方を知っているファンからすれば、なんていう悔しさだろう。

 どうか広告展開以外の他の活動に、なんの支障も出ないでくれ、と祈る事しかできない。ただ健やかに、幸せにアイドルをして、今まで通りたくさんの人に幸せを届けてほしい、と願う事も、できると思う。

 

 もし明日にはなくなっていたらどうしようと怯えて発作的にチケットを取ったケンティースカイライナーの車中でこれを書き、成田空港駅のトイレでリップモンスターが落ちていないかチェックをして、会社に向かいながら、そんな事を思っているのだ。こんなやるせない事、もう二度と味わいたくない。

*1:現時点では健人くんのインスタに映像自体は残っている。広告展開としての投稿じゃないからだろうか。それは今のところ許していてくれてありがとう企業。