三ヶ月坊主

個人的嗜好をSexyと戦わせるゆるオタク

マイ・ハイライト・オブ・セクシーゾーン ケース:akariさん

前回↓

 

 Sexy Zoneのファンに、出会ってからハマるまでの経緯をインタビューする企画「マイ・ハイライト・オブ・セクシーゾーン」。第3回は、企画発表をしてすぐにご連絡をいただいた、akariさん(Twitter:@akarinrin_sz)へのインタビューになった。
 お話が面白くて途中から普通にオタク同士のお喋りになってしまい、苦渋の決断で削る箇所が複数出ることになってしまった。今回は対話形式ではなく、文章形式での掲載になります。

 

 

 

 朝、家の中ではテレビの情報番組がよく流れていた。別にテレビはそこまですごく好きなわけではなかった。同じ作品であっても、だいたいの場合アニメより漫画の方が好きだった。漫画の中でも、その頃は少年漫画の方が好きになりつつあった。小学生の頃はちゃおなどの少女漫画もよく読んでいたが、高学年の時に『名探偵コナン』を好きになった。既に5~60巻出ていたので、集めるのはかなり大変だった。でも好きだった。
 中学校では部活は漫画イラスト部に入った。絵を描くのは好きだった。時は華やかなりし嵐の絶頂期、花より男子、Love so sweet、周りにも当然のようにアイドルが好きな友達はたくさんいたけれど、母はSMAPをお茶の間から応援していたけれど、別に自分はそこまで関心はなかった。
 だから、その朝テレビの情報番組で流れていたどこかのグループの結成会見も、多分大して熱心には見ないで、映像が流れているのを尻目に急いで準備して、慌ただしく中学校に行ってしまったのだろう。あまり覚えていない。自分と同い年の子がいるんだな、まだ子どもなのに……と思ったのは、覚えている。


 高校生の時は自転車通学だった。小学校から一緒の友人もいたが、彼女は電車通学で、一緒に帰れる事はたまにしかなかった。
 そのたまにしかない機会に一度、彼女が今ハマっているアイドルグループの話をされたのは結構はっきりと覚えている。パート割が偏っているだの、メンバーなのにジャケットに写らなくなっただの、大変そうだなあと思いながら聞いていた。その子に限った話ではないが、何かにハマるって、「推し」の話をする時の熱量って、自分の「好き」とはとてもギャップがあるなと思っていた。


 気付いたら名探偵コナンの巻数は90巻を突破していた。最初に集め始めてから結構な時が経っているのに相変わらず好きだったが、どこか自分の中で「好きなもの」として紹介するのは良くても、「ハマっているもの」として他人に紹介するのにしっくり来ていなかった。他人から見るとハマっていると思われるんだろうな、とは思うが、自分の認識としてはどこか違う気がしていた。好きだけど、ハマっているわけではない、この感覚はなんだろうかと考えていた。
 でも好きなもの、好きなエンタメは他にもあるし、別にいいか、と思っていた。歌い手のCDを買った時は、まさかこの私がCDを買う事になるとは……とちょっと感慨深かった。
 その歌い手をきっかけに、三次元の顔が綺麗な人に対する関心が高まったように思う。相変わらずドラマなどはほとんど観ていなかったが、すごく好きな顔の男の子が主演していた刑事モノなんかは母が観ていて、かわいいな~と思った。


 暇つぶしに、Twitterで友人が思い思いに自分の好きなものや気に入ったものを投稿しているのを眺める事が多かった。漫画やアニメ、映画やドラマ、顔の良い人、面白い動画。
 ある友人は嵐の活動休止に伴い、最後の活動を追う中で怒涛の勢いでその情報をRTしていた。意識せずとも目についたそれらは、好きだった漫画『君と僕。』を思い起こさせるようなわちゃわちゃしたやり取りで、自然と嵐やジャニーズに対する好感度も上がっていった。冠番組も時々観るようになったし、CDや円盤を借りて観たりもした。友人は「嵐の後輩として好感を持って応援してる子たちもいる、嵐と同じ五人組」とも言っていた。
 またある日、RTで回ってきて目に入った動画は、どうもCMらしかった。今どきお客様は神様ですなんて前時代的だろうに、お客様はお姫様と出たか……と思いながら観ていたら、最後に恐ろしく顔の良い王子様の恰好をした男の子がおじさまを抱き上げて、おじさまが嬉しそうにして終わった。衝撃だった。そりゃ話題になるわと思った。この男の子はとても好きな顔をしているなとも思った。
 嵐にしやがれの後に続いていた未満警察というドラマを流れで数度観ていたら、やっぱり主演は中島健人。主題歌も頭に残る良い歌だな、と気に入った。
 ジャニーズの中島さん、そういえば前に読んでいたちゃおで名前を見かけたような気がする。ジャニーズのアイドルの活動を少女漫画化した作品があるのは知っていたし、写真も載っていたような気がする。好みの顔の人だなと思った記憶がある。しかし、あの中島さんはHey!Say!JUMPの人だったような……。
 時は年末、今度のテレビの音楽特番に嵐が出て、それに中島健人の所属するSexy Zoneが出るらしいと知った。音楽特番なんてほとんど観たことがなかったが、なんとなく観てみようかなと思った。出るのはFNS歌謡祭という番組らしかった。

 


 2020年12月9日20時35分、FNS歌謡祭、Sexy Zone『NOT FOUND』、聴いた時、観た時のあの衝撃を、忘れる事はないだろう。

 


 シングル『NOT FOUND』は既に発売日から少し期間があいていたので、買い方を調べるところから始めなくてはいけなかった。アイドルのCDとはどういう風に買うのが良いのか分からず、初回限定盤Bが良いと聞いたが売り切れで、初回限定盤Aを買った。わくわくしながらCDをセットした光景はよく覚えている。
 同時に買ったアルバム『XYZ-repainting』は曲がとても好きだった。一番好きだったのは「フィルター越しに見た空の青」だった。当時、ハマっている、と言える音楽がなかったところに、ぴたりと寄り添ってきた曲だった。
 そしてアルバム『XYZ-repainting』の特典として付いてきた映像、葉山鎌倉旅に向かう道中、文明開化の音がした瞬間、面白いものを見つけた!と感じた。なんだか面白いものを見つけた、Sexy Zone、ちょっと掘ってみるか、と。


 ちょっと掘ってみるか、の後のことは、実はあまり覚えていない。コロナでお金の使い所がなかったのも影響したか、気が付いたら、2021年2月〜4月のクレジットカード請求がセクゾ関連の支出だけで毎月10万円を超えていた。気が付いたら手元にはCDやBDが揃っていっていた。ひたすらシングルやアルバムの初回限定盤Bを買い、バラエティを観て大好きなわちゃわちゃを楽しんだ。

 『Sexy Zone POP×STEP!? tour 2020』をすぐに予約していたが、一番最初に観たのは『SEXY ZONE Repainting tour 2018』だったのは鮮明に覚えている。歌い手のライブに行ったり、友人に借りた嵐のライブ円盤を観たりした事があったので、「コンサートとはこういうもの」という認識はあったつもりだったが、Sexy Zoneのコンサートはそのどれとも(当たり前だが)違った。

 コンセプトを語るマリウスの朗読、何も知らないながらに意図を感じる曲の並び、漫画を好きな人間として、考察魂をくすぐられる仕掛け。『PEACH!!』のあの頃友人がやっていた乙女ゲーム感。やっぱり『フィルター越しに見た空の青』は大好きだった。勝利くんの口上を聞いた時、何かを掴まれた気がした。

 


 またその頃、コロナ禍の自粛期間真っ只中に公開されたというSmile Up Projectを観て、健人くんのあまりの心配りに胸を掴まれた。誰もが気軽に会えなくなっていたあの時。一緒に夕食を食べる動画を観て当時孤独な一人暮らしをしていた友人を思い出し、カレーの飾り付けをしている動画を観ては給食時間中ずっと黙食を強いられている近所の小学生を思い浮かべた。
 YouTubeにとどまらず、ハッシュタグを生み出してTwitterにまで企画を広げる手腕は天才だと思った。いや、天才、と軽々しく形容できないかもしれない。
 思えば、自分の意志を曲げない人が昔からずっと好きだった。小学生の頃から好きだった名探偵コナンでも、主人公の江戸川コナンの、ただただ探偵になりたいという思いをまっすぐ貫くところが、好きだった。よく「天才」というイメージを持たれがちだが、彼はライバルの怪盗キッドと違って作中で天才アピールをされる事はあまり多くはない。ただ生まれ持った才能を消費するのではなく、与えられた才能をひたむきに磨き続けてここまで辿り着いたところが、好きだった。

 これって、健人くんだと思った。もちろん元々の素晴らしい才能を持っているけれど、何もしなければ埋もれていくだけだっただろうその才能に、夢を持って水をやって育ててきた人なのだと感じていた。
 好きな顔も声も心配りも何もかも備えている人生で初めて"推し"と呼べると思った人に、子どもの頃から大好きだった作品が繋がっていた。ハマっている、という自認を持てなかった作品でも、こうして。

 

 ちなみに少し気にかかっていた、ちゃおのグラビアに載っていた「好みの顔の中島さん」は、Hey!Say!JUMPの中島さんではなく、当時山田くんや知念くんと一緒にNYC boysとして出ていた(が為にJUMPと混同してしまっていたのだ)、中島健人くんだった。

 健人くんとは小学生の頃に既に出会っていて、その頃から顔が好きだな、と思っていたのである。運命の出会いだなって騒ぐ事ってほとんどないけど、これって運命じゃん。


 こうして、自分は中島健人が大好きで、Sexy Zoneを推したいと思っている、という自認を持つようになった。なぜ"推している"ではなかったかというと、菊池風磨
 基本的には素直な子が好きだが、あまりにも率直に態度に出していると「今はもうちょっと違う態度のほうがいいのではないか」とハラハラしてしまうので、なんとなく苦手な感覚があった。
 昔そういえば母と観ていたSMAP再現ドラマに、木村くんを演じていた健人くんと一緒に出て慎吾くんを演じ、お母さんの後ろに隠れていたあのちっちゃい子。後から少クラやセクチャンなどの映像を追っていると、いかにも反抗期!な姿を観る機会が多く、苦手意識が強まっていったように思う。

 SZ10THアプリで配信されたスペシャルボイス「Sexy Zoneと言えば?」を聴いたのはそんな頃だった。毎週メンバー一人ずつがテーマに沿った選曲をして流してくれるこのコーナーで、「Sexy Zoneと言えば」で風磨くんが挙げたのは、『Sexy Zone』『Lady ダイヤモンド』『Sexy Summerに雪が降る』。
 最初こそ「1st〜3rdまで適当に挙げただけか」と思ったのは否定できない。でも、あのスカして見える風磨くんが、グループの一番核になる曲としてこの初期の曲を挙げた意味を受け止めるべきだ、と感じた。

 最初のシングル三つは、これからのグループを表す象徴・本質としての一曲目、それを受けてこれから見せていきたい方向性(正統派のキラキラ感)を表した二曲目、そしてキャッチーで印象に残る三曲目……という立ち位置なのだろうな、と感じていた。その自分の感覚が、風磨くんと一致している。この人はこの三曲がグループの根幹だと認識した上で、これからのSexy Zoneを見せていこうとしている。
 この人は、ちゃんとSexy Zoneというグループをしっかりと見据えている。考えている。大事にしている。
 スマホを握りしめながらそれを信じられたあの瞬間、Sexy Zoneのこと全てを信じられたような気がしたのだ。

 

 

 

 

 

 

おまけ:

「ハマっている」「ハマっていない」の感覚の線引きについて、インタビュー後にakariさんからご自身の感覚についての考察をいただきました。なるほどなあ、と納得したので、最後に載せておきます。(掲載許可済)

 

↓↓


こんばんは。
先程のインタビューの際にハマったコンテンツはSexy Zoneだけと言い切れるといった根拠について考えてみたのですが、下記のように帰結しましたので原稿をまとめる際の参考になればと思いご報告いたします。
私の中の「ハマる」「ハマってない」の境界線はそのコンテンツに触れたときに生まれたものをなにかしらの形にしようとするか否かなんだと思います。


周囲にはハマっていたものはコナンでしょと言われたにもかかわらず自分としてはなぜかハマったと言い切れなかったのは、コンテンツを楽しむだけで終わっていたからなんですよね。
楽しんだコンテンツに対して感想を文章としてまとめたりとか、二次創作とか、ファンアートの作成とかを一切していなかったです。自分の中に留めるだけ、もしくは友人にここが好きなんですよって語るくらい(なかなかに迷惑な奴です笑)。
それに対してSexy Zoneは、Sexy Zoneというグループの歴史、5人の関係性、パフォーマンスについて、ライブについての感想などを文章にしてまとめたり(ツイートしたり)、ファンアートを描いたりしています。しかもSNSでのコミュニーケーションへの苦手意識があるのにわざわざ専用垢を作ってまでです。


以上のことから、そのコンテンツに触れて生まれたものを形にしたいと思えるか否か、実際に行動に移すか否かが私の中での「ハマる」の境界線なのかなという結論に達しました。
ちなみに、話すことでの感想のハードルはバリ低いのでハマるときの基準にはいれてないです笑

 

 

次回↓

マイ・ハイライト・オブ・セクシーゾーン ケース:つぐみさん

前回↓

 

Sexy Zoneのファンに、出会ってからハマるまでの経緯をインタビューする企画「マイ・ハイライト・オブ・セクシーゾーン」。第2回は、つぐみさん(Twitter:@_tokormati)へのインタビューになった。
 子どもの頃から今に至るまでずっとSMAP中居担であるつぐみさんのお話は、少しお聞きするだけでもSexy ZoneSMAPへの想いに満ちたものでした。今回は対話形式ではなく、文章形式での掲載になります。

 

 

 その数年、夏は別れの季節だった。ずっと大好きだったSMAPが解散を発表したのも、贔屓にしていた力士が引退をしたのも、落語家で一番好きだった人が亡くなったのも、全て夏のことだった。
 世の中全部が嫌になって、もう出家して坊さんになろうとすら思ったのがその夏だった。気付いたらなんの備えもなく奈良にいたりした。色々あって出家はしない事にしたが、とにかく全ての煩悩を捨てたい、捨てようと決意した。
 潜在意識下で、煩悩の中で最も象徴的だったのが、もしかしたらずっと見てきた中居くんとSMAPに対する、未練だったのかもしれない。煩悩を捨てようと決意してまずやった事が、中居くんがまだ事務所に残っているからとずるずる登録を続けていたジャニーズwebを退会する為に画面を開く事だった。特に他に好きなジャニーズタレントがいたわけではない。とっくに中居くんの更新はされなくなっていた。
 その画面を開いたのが月の終わりだったら、そのまま退会してジャニーズとの縁は全て切れて、それでおしまいだっただろう。しかし時は七月半ばの十四日、まだ微かに残っていた損得感情が「せっかくなら会費の元を取るだけ取ってから辞めろ」と囁いた。具体的には、デビュー年次順に上から片っ端から眺めてみようと思った。
 王道中の王道煩悩である吝嗇、こいつのおかげでKen Tea Timeという恐怖のジャニーズwebにぶち当たる事になったのだ。


 これまで自分の見てきたアイドル中居正広とあまりに違う世界観と質量に圧倒され、逃げ込んだのはちょうどその日放送されていた中居くんがMCを務める特番『音楽の日』だった。しかし外が暗くなってきた頃、テレビの中に登場したのはSexy Zone、さっきの恐ろしいジャニーズwebを更新していた中島健人さんがいるグループだった。
 なぜかその時、絶対にハマらないぞ、と決意したのを覚えている。防衛本能、現実の否認、とにかく何か危険を感じていたのだろう。
 しかしその夜、なぜか手がジャニーズwebの画面を開いていた。KTTは、青空を背景に指でLを作った写真に残りのOVEを手書きで書き込んでLOVEを表現し、「#青に中途半端なハートのアート」というタグがついていた。今振り返ると、なんであんなに刺さったのかは分からない。あっ、何!?この人。えっ、何!?この人。どういう事!?この人は。


 その晩は寝たら中島健人さんが夢に出てきた。起きたら引くほど発熱していた。なんだこれは。誰なんだ、あなたは。なぜか、観念してファンクラブに入ろう、と思った。あの時なぜ、何に観念して、そう思ったのだろう。

 


 きらめきをまとって彗星のごとく現れた健人くんを追いかけてジャニwebを毎日読み、TSUTAYAでCDを借りる日々を送り始めたが、この頃は仕事もあまりうまく行かず、当時の恋人ともうまくいっておらず、というより当時の恋人がやばい奴で、というか仕事がうまく行っていなかったのもこいつのせいみたいなところがあった。
 荒んだ生活に現れた一筋の健人くんをゆるっと追って一ヶ月ほど経った頃、時は八月の終わり、24時間テレビの今年のパーソナリティーSexy Zoneだという事は知っていたので、テレビの前で観ていた。きちんとグループで彼らを観たのは、これが初めてだった。テレビのこちら側のこの荒廃した現実と比べて、向こう側の彼らはなんて眩しいんだろう、と思った。なんて綺麗なんだろう。
 あんな男とはもう別れよう、と思った。24時間テレビが終わってすぐに、別れを告げた。やっぱりやばい奴だったのですんなりとは全然別れられず、揉めた。ものすごい揉めた。これは後に分かる事だが、別れた後もしばらくの間は危険で家に帰れない…という状況にこちらを追い込むような、やばい人間だった。そんな人間との関係を断とうとして、心身ともに疲労しきってしまった。
 その日はそのままふらふらと家に帰ってきて大泣きしていた。大泣きすると身体と脳の水分が全部外に搾り出されていくように感じるあの感覚、ぼうっとした虚脱感、あれは何なのだろう。精神を現実世界に繋ぎ止めておくために、無意識のうちにスマホのシャッフル再生をつけていた。聴覚だけでもまともだと信じなければならない。


 流れてきたのは、

Hello この声は君に届いてるかな
たったひと言だけ言えたなら
僕はいつだって
その苦しみに寄り添ってるのさ

星さえ見えない、月に凍える夜の歌。こんなに優しい子たちがここにいたのか。包み込んでくるこの声が誰なのかは、もう知っていた。
 Sexy Zone。この優しい声がSexy Zoneなのだと、一番まともな聴覚から脳裏に沁み渡った。ただふわふわといいな、頑張ってほしいな、と思っていた気持ちが、かちりと形になった気がした。


 Sexy Zoneの事をもっともっと知らなくてはいけないと思った。幸い、もともとセクラバだった友人がいたので色々と教えてもらう事ができた。この時先述の通り家に帰れないという非常事態に突入していたのだが、職場は大変理解のある良いところだったので、一時的な休職をさせてもらえる事になり、時間はとりあえずあった。
 後に同居人になる男が、「最近中島健人にハマってるらしいじゃないか」という事でSummer Paradise2015の円盤を貸してくれた。なぜ持っていたのだろう。という事で、がっつりとソロで歌って踊る健人くんを初めて観たのはこのサマパラ2015、中島健人ソロライブLove Ken TVという事になった。
 『真夏の脱獄者』を、健人くんが歌い踊っていた。言わずもがな、SMAPの曲。
 これだけSMAPをちゃんとまっすぐにやれる子なら、事務所と揉めなそうだなとまず思った。そういうものなのだ。そのエネルギーを感じたのだ。次に自担にするなら事務所と揉めない、中居くんみたいにならない子がいいと思っていた。あのパターンは中居くん一人でいい。これはますます健人くんだと思った。
 Sexy Zoneを応援すると決意はしたものの、SMAPほどの熱量はきっと注げないだろうと実は思っていた。歌って踊る中島先生に、その視線に手を引かれて、最高の夏にばっくれて、予感はここで大きく外れる事となった。

 


 その後も、実家でひたすらスマスマを観ていた時にふと、あっあの時SMAPの再現ドラマに出ていたのは幼き日のふまけんだったな、と思ったり。SMAPが解散した後にコメントを寄せてくれていたのは風磨くんだったな、と思ったり。夏になると塞ぎ込むようになっていた自分を見かねた二宮担の友人に誘拐されてワクワク学校に行った時、すごく楽しませてくれたのは中島先生だったな……直後に歌丸師匠が亡くなったので、記憶から吹き飛んでしまっていたが……とか。

 ずっとSexy Zoneはいたのだ、たまたま気付いていなかっただけで。

 全てが流れ込むように繋がっていって、SMAPを今もSMAPのままでいさせてくれるSexy Zoneの振る舞いに気が付いて嬉しくなって。Sexy Zone中島健人さんに出会ったあの日に未練として捨てようとしていた気持ちは、Sexy Zoneを好きになって、今も捨てずにいられている。

 

 

 

ぎゅっとの特典観てたら勝浦行きたくなったので次の日行っただけの話

 インタビュー書き起こししなきゃいけないし、スマホゲームのイベント走らないといけないし、資格勉強しなきゃいけないんだけど、昨日の夜に「夏だから」という理由で2017年発売のSexy Zoneのシングル『ぎゅっと』特典映像を流しながら足の爪塗ってたらなんかロケ地の勝浦行きたくなってきたので行ってきました。

 

 勝浦駅にはJR外房線で行ける。どうも今の季節は本数が普段より若干増えているらしく、私が乗った電車は臨時便だとアナウンスがあった。ボックス席の窓側に陣取り、古いスマホの充電が切れるまでボイスメモに録音したインタビュー音源の書き起こしをし、切れた後はSexy Zoneに楽曲提供したアーティストの夏っぽい曲を適当に流しながら窓の外を観ていた。鬱蒼とした千葉県の緑を眺めながら聴くシティポップはめちゃくちゃ良かった。でも外房線はもっと海沿いを走る路線かと思っていたが意外と内陸ばかりを走っていて、やっと海がチラ見えしたのは勝浦の手前の御宿駅だった。

 勝浦駅に着くと、駅前ロータリーは広いがかなり閑散としていた。市街中心部では朝市をやっているらしいが、どうせ間に合わないからとその時間帯を避けた結果かもしれない。バス停とコンビニがある。あとまさかの鶏のジョージ勝浦駅前店があり、モンテローザまじかよと思った。

 

 まずはMVのメインロケ地である小学校……の前まで行った。さすがに中には入れないし、写真も撮っていいのか判断つかなかったので撮らなかった。誰かいたらすぐ引き返そうと思っていたが、幸い祝日のためか周辺含めて誰もおらず、校舎と校庭と体育館と渡り廊下を眺める事だけは出来た。

 校庭はMVで観たよりも狭く見えた。久々に母校の小学校前を通ったらあれ?こんなに校舎とか校庭とか狭かったっけ?となるあの現象を、まさか知らない学校でも味わう事になるとは思わなかった。

 

 次に、健人くんチームが撮影した遠見岬神社へ行った。夏の緑と、鳥居の赤と、空の青が綺麗だった。上り下りはまあまあ疲れたけど覚悟していたほどではなかったけど小学生にはきついわこれ。

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↑おみくじの量が増えてた。
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↑健人くんチームがチームver.のMVで最初の挨拶をしてたところ。
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↑勝浦の海。
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↑健人くんが演技指導していた境内の隅。
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 ちょっと早かったがお腹がすいたので海鮮料理を出してくれるお店を探して行った。めっちゃ人気店だったらしく、たまたま開店直後にいけたので入れたが後から来た人は断られたりしていた。ラッキー。お店の人の会話が丸聞こえだったので、バイトの学生さんが部活の練習終わりらしい話とか聞こえた。もしかしたらMVに出ていた子たちももうこうしてバイトとかしてるのかなあとか思った。

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↑お店が忙しすぎて、でもなんとか客を待たせないようにとできあがった皿から出してくれるシステムをとっていたので、食前ではなく食後に撮る事となった、なめろうと刺身セットだったもの。小皿が思ってた倍あったので後半まじでフードファイトだった。そうこうしているうちにザアリの一般発売時間は過ぎていた。

 

 次に行ったのは、マリウスチームの撮影場所である勝浦海水浴場だった。当たり前だけど人まあまあいた。子どもたちだらけの海水浴場をグラサンマスクTシャツスニーカーで闊歩する海に入る気ゼロの女、ガチめに不審者だったと思う。こんなに海に入る気ゼロの格好だったのに、スニーカーと靴下脱いで足だけ入った。当然砂まみれになったがハンカチでぬぐって良しとした。家帰って靴下脱いだら引くほど砂落ちてきて全然良しじゃなかった。

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↑マリウスチームのMVで漕いでたブランコ。
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↑なんか分からないけどよかった壁。この前にしゃがんでSummer RideとDream聴いたの激エモだった。来てよかったなと思った。

 

 勝浦駅に戻り、外房線に乗って隣駅の鵜原駅に向かった。電車に乗る時間は4分程度だが、上りも下りも(どっちが上りでどっちが下りだかもはや判然としないが)1時間に1本しかないので調べたところ、30分ほど時間があったので、勝浦駅前のコンビニでガリガリくんを買ってホームで食べようと思った。駅のホームに着く頃にはベッチャベチャだった。袋もらっといて本当によかった。駅にゴミ箱あって本当によかった。ホームのベンチで一人ガリガリくん(ソーダ味)にむしゃぶりつく女……

 

 鵜原駅から向かったのは、ちょっと遅めのSexy夏休みでビーチバレーをしていた鵜原海水浴場だった。こっちも人まあまあいた。

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↑Sexyたちが降りてきてた階段。
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↑最初の主旨説明してた道。
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↑今映像見返してたけどこんな鳥居なかった気がする。鳥居を今新規に建てる事ってあるんだ。

 

 全体的に聖地巡礼としては絶対今の時期じゃなかったなと思った。普通に人がいるので、例えばブランコの横にあったマリウスチームが作戦会議した東屋とか、バーベキュー会場になったと思われる東屋とか、とにかく東屋に人がいて写真を撮れなかった。

 あと暑かった。勝浦は実は涼しいとかいう情報全然嘘だと思った。確かに海風は涼しかったので、日差しさえ弱ければもうちょっとマシかもしれない。実際午前中は曇っていたのでわりと余裕があった。

 でもそれを補って余りある、夏の勝浦を感じる事ができたので(そしてザ・ハイライトやPrismやHeatを聴きながら街を闊歩できたので)総合的にはめっちゃ良かったです。

マイ・ハイライト・オブ・セクシーゾーン ケース:あきちんさん

 
 Sexy Zoneのファンに、出会ってからハマるまでの経緯をインタビューする企画「マイ・ハイライト・オブ・セクシーゾーン」。記念すべき第1回は、以前からめちゃくちゃお世話になっている*1、あきちんさん(Twitter:@dyhmfs)へのインタビューになった。
 インタビューしてみて浮かび上がってきたのは、一人の人間の人生に深く食い込み、青春を照らし、転機にすら成り得る、『アイドル』という概念の凄みだった。
 

■アイドルというものがずっと好き

 Sexy Zoneに出会ったのは大学1年生とかだったんです、2015年末。ジャニーズで最初に好きになったのはごくせんきっかけの亀梨くんです。雑誌を読んだりCDを買ったりしたのは男性アイドルだとKAT-TUNが初めてですね。
 そこから小学校5年生から中1ぐらいまで、探偵学園QきっかけでHey! Say! JUMPの山田涼介くんのオタクをしていて。
 ――あ、そうなんですね。Sexy Zoneが最初ではなくて、元々ジャニオタだった。
 中学1年生で上京してきて、そこからジャニーズのコンサートに行き始めて。それが私の、ふまけんファーストタッチ……っていうとあれですけど(笑)
 ――じゃあジュニアの時のふまけんは観た事があったんですね。
 そう、超しゃしゃり出るジュニアいるなと思って(笑)、スクラップティーチャーも観てたし、っていうような世代です。当時バレーボールをやっていたので、NYCやB.I.Shadowも知ってました。
 だからSexy Zoneのデビューもリアルタイムで知ってはいて、ふまけんここでデビューなんだ!?このちっちゃい子たち誰!?みたいな。川崎でデビュー記念イベントがあって、友達に一緒に行かない?って当時誘われたんですけど、行きませんでした。
 ――そのぐらいの、ゆるく知ってるな~という感じだったんですね。
 そうです。同じ時期、女子アイドルではモーニング娘。亀井絵里ちゃんも好きだったんですけど。彼女が卒業してしまって……喪失感に苛まれて亡霊みたいになっちゃって(笑)
 喪失感を抱えてた頃、K-POPにはまって、中学2年生から高校3年生まで、K-POPのオタクをしてました。ここが、一回日本のアイドルからは離れた時期ですね。
 ただ韓国のグループって「7年の壁」って俗に言われていて、私の好きなグループも例外ではなく、メンバーが兵役に行っちゃったり解散したりして……。受験も重なってちょっと熱が落ち着きました。
 そんな受験生の頃に元気をもらってたのがモーニング娘。でした。また高校3年生ぐらいからモーニング娘。に出戻りしたんです。ちょうど道重さゆみちゃんが卒業した頃ですね。
 ――なるほど……お話を聞いてると、『アイドル』ってものが小学生ぐらいの頃からずーっと好きだったんですね。
 そうです。ちっちゃい頃から好きです。
 ――わりと切れ目なく。
 「見境なく」って言った方が正しいですね(笑)私一人っ子なんですよ。友達と遊ぶっていうのもあったんですけど、土日なんかはテレビと向き合ってる時間がめちゃくちゃ多くて。それにその頃の小学校の会話って「どんなアイドルが好き?」とかじゃないですか。体育祭で踊ったりもしましたし。
 ――あ~ありましたね、そういうの。
 今よりもYoutubeとかそんな広まってた時代でもないから*2。タッチポイントが限定的で、アイドルと触れ合う機会が多かった。
 ――確かに……今って娯楽の選択肢いろいろありますもんね。
 そうそう。だからもう、アイドルすごい好き!みたいな、そういう感じはずーっとありましたね。
 そんな小中高時代を経て、大学1年の終わりまではがっつりモーニング娘。のオタクをしてたんですけど。そんな中、私が好きだった譜久村聖ちゃんの同期の、鞘師里保ちゃんの卒業が決まってしまって……
 ――ああ……。
 これから先9期が引っ張っていくモーニング娘。を見られると思っていたのに……って、喪失感に苛まれてた時期が、2015年の終わり頃です。
 

■テレビの中の

 ――それがその時期なんですね……!
 そうなんです。その時期に、モーニング娘。も年末の歌番組とかに呼んでもらえる事が多くて……観てたら、ちょうど5人に戻った頃のSexy Zoneの、『カラフルEyes』の活動期が、鞘師の卒業シングルの活動期と被ってて。『カラフルEyes』を耳にする機会が多かったんです。自分ももともとジャニオタだし、周りにもジャニオタは多かったし、3人になったりしたのも、オタクの受動喫煙じゃないですけど(笑)
 ――(笑)。なんとなく耳に入ってくる事ってありますよね。
 そう(笑)5人に戻ったんだね良かったね~、と思いながら観てたんですけど、だんだん気になってきて……自分が大好きだった韓国のアイドル達がだんだん活動がなくなったり解散したりで状況が変わっていって、その後支えにしていたハロプロの、重要なメンバーが卒業するって分かってしまった時期で、もう一つ何か支えが欲しいな、って思ってたのかな、って今は思ってます。
 ――なるほど……ここまでの遍歴を聞いていると、割とこう、気になったらぱっと入っていく感じというか。
 そう。アイドルに対しては、嫌いになる……という事は無くて、優先順位が変わっていくイメージですね、私の中で。
 ――その優先順位の中で、Sexy Zoneがこう、ぐって上に来たな!ってタイミングってあるんですか?
 年末年始の音楽番組で『カラフルEyes』がすごい耳に残ってて、決定的だったのは2015年12月のMUSIC JAPANPerfumeが司会だった音楽番組。
 ――ああ~!ありましたね!!!*3
 ちょうどセクシーが出る回と、鞘師の卒業スペシャル回が一緒だったんです。原始のモーニングセクシー!そのタイミングでズドンとハマったわけじゃなかったんですけど、やっぱり曲がいいなあ……と思い始めて。自分から積極的に情報を取りにいくというか、Sexy Zoneについて調べ始めたのがそこですね。2015年12月の15日か16日……どっちかだった気がする。
 ――ちょっと後で調べておきます(笑)。(2015年12月13日でした。惜しい。)
 こいつらヤバい!と思ったのは、カラフルEyesのB盤に収録されてる、カラフルEyesお披露目ファンイベント映像を観る機会があって、そこで「俺たちの恋愛ゲームがあったら」っていうくだりがありまして……めっっっちゃ面白いじゃんこの子たち!となりまして。
 そこからはもう、急激に興味が沸いてきて、彼らの出ている番組を、「彼らが出てるから」って理由で観るようになりました。
 ――そこでSexy Zoneの優先順位がドカンと上がってきたわけですね。年末年始って番組多いですし、ハマりやすいですよね。
 5人に戻ったばかりのタイミングっていうのも大きかったと思います。デビューした頃の記憶があったので、あんなにちっちゃかった子たちが……!っていう衝撃もあり。
 正月休みにお年玉握りしめてTSUTAYAに駆け込んでCD全部借りて。えっバラエティだけじゃなくて曲も全部好きなんだが!?になって。ちょこちょこ曲は音楽番組とかで聴いた事はあったんですけど、じっくり聴いたのは初めてだったので……曲もめっちゃいいじゃん……って。そして私は、BYAKUYAにぶち当たるんです。
 ――白夜……?びゃく……ああ!(遅れて合点がいく)
 松島聡くんが少年俱楽部で披露した『BYAKUYA』(NEWSの楽曲)の映像をたまたま観て……。私の好みの踊り方をする……私の好みの歌い方をする……あっ、無理だ!!!!!と思いました。私、松島くんかもしれない!!!!!って。
 ――wwwwwじゃあ「松島くんだ!」って瞬間は結構はっきりしてるんですね。BYAKUYAだ!っていう。
 もともと男性アイドルは、小柄・動物っぽい顔・好きなダンスの踊り方をする人が好きで。あとたまたまですけど、抜けている人が多い(笑)
 

■振り返るハイライト

 同じ頃、ウェルセクの発売とツアーの発表がありました。そこ目がけて、猛スピードで履修していきましたね。「現代のジャニオタの動き」みたいなものを習得していったのもこの時期です。
 ――このタイミングでウェルセクだったんだ……じゃあ、コンサート行きたいからそこで初めてSexy ZoneのFCに入ったんですか?
 入る前に行きましたね。その頃、まだFCの入会がネット経由じゃなくて郵便局行かないといけなかったんですよ(笑)
 ――あ~~~~~そっか(衝撃を受ける音)私ネットしか知らない……
 FCに今から入ってたら間に合わない!っていうので。高校の頃の友達でFC会員がいたので、その子と一緒に行きました。そのタイミングで、今のTwitterアカウントを開設しました。もともと持ってたリア垢でもモーニング娘垢でも、これ以上はもうSexy Zoneの事つぶやけない!ってなったので。
 ――(Twitterを開設するタイミングって大きいよなあ……)
 ウェルセクは当時、ポニキャのポップアップストアでフラゲしました。メンカラのタオル付限定版は松島くんのタオルを買って。
 ――じゃあもうそのタイミングでは完全に「松島担だ!」ってなってたんですね。
 自我はもう松島担でした。風磨くんに抗えない松島担(笑)
 ウェルセクに収録されてたソロ曲の『But…』がめっちゃ良かったのと、この頃に観たセクチャン東北旅のふまそうの絡みが好きすぎて、あっ私はこれはふまそうで推すんだ……と悟りました。
 ――もう今の基礎がガチガチに出来上がってますね(笑)
 
 この後、あきちんさんからは色々な当時(2016年~2017年)のお話を聞く事ができた。雑誌を定期的に買い始めた事、初めて聴いたQRの思い出*4、バイト終わりにQRを聴くのが習慣になり、どんどん生活にSexy Zoneが根付いていった事……。
 
 まだ当時はセクチャンからも1年も経ってない時期で。「あの頃はこうだったんじゃ……」的な貴いお話を先人のオタクからたくさん聞けたんですよ。
 ――(それを私は今こうして聞いてるわけか…)
 
 また、Sexy Zoneに転げ落ちた頃には既に2016年の夏から韓国に留学する事が決まっていたあきちんさん。5周年は韓国で迎える事が確定していたので現地のオタク友達を作るためにTwitterを大活用したり、関連イベントの度に帰国して時には日本滞在時間が24時間しかなかったり(さすがにそれを聞いた時には「24じゃないっすか」と言ってしまった)、大変エネルギッシュにオタク活動されたそうだ。
 
 韓国へ留学に旅立ったのは今でもはっきり覚えてます、8月26日でした。
 ――なぜそんなにはっきりと……?
 8.25の翌日ですよ。
 ――ああ~~~~~!!!!!2016年!
 出国なのに朝寝坊しましたもん、前日眠れなさ過ぎて。
 ――起きてる場合じゃないっすもんね(?)
 
 そんな数々のハイライトを経て、自然とメンバー全員の事が好きになっていったという。
 
 松島くんがお休みした後も……PAGESの初日次第では、その時持ってたチケット全部もしかしたら手放すかもなって思ってたぐらいの、時期だったんですけど。でも、PAGESがあまりにも楽しすぎて。自担がいないのに、一番行ったツアーになりました。チケットが勝手に増えていくという(笑)
 今やっているブログも、Sexy Zoneにハマってから書き始めました。それまで雑誌とか買う事はあんまり無かったんですけど、Sexy Zoneはとにかく言葉が好きで。どんどんテキストのオタクになっていきました(笑)
 大学で文化論とか、文化比較とかをやっている時期だったのもあって、自分の文章の書き方も変わってきて……長い文章で思いをしたためるという事は、Sexy Zoneと出会ってから始めました。
 

■火をつけるのは

 ――お話を伺っていると、人生の色々なタイミングと、Sexy Zoneを追っている軌跡がこう、グッと噛み合っている感じがしますね。一番アクティブに動ける大学生時代に5周年を迎えて、数々の現場があって。ブログのお話もそうですし。
 そうですね。ちょうど音楽ビジネスって面白いな、と思い始めた時期でもあって。当時は……今もそうですけど、ファンが買い支える文化ってあるじゃないですか。それでマーケティングとか広報とかにも興味が出て。自分のキャリアを考えるきっかけになりましたね。健人くんのKTTを通した発信……SNSが使えない状況でどう発信していくか……を見て、なるほどそういう手法もありか、って思ったりとか。
 大学での自分の学びと、Sexy Zoneのオタ活がマッチしていって、自分のキャリア形成に繋がっていったところはあるかもしれないです。
 ――そうか……大学に入った時点で、そういうジャンルへの興味はお持ちだったわけじゃないですか。そのもともと持っていた興味関心と、オタ活がちょうど絡み合って、なんかすごい事になっているな、というのはお話聞いてて感じますね。
 人生、を語る上で(笑)、一番大きなターニングポイントにはなったと思います。
 ――なんとなく、Sexy Zoneに出会った時期についてお聞きしようかな、って思ってたんですけど。なんか、『人生』の……
 (笑)。オタク人生論になっちゃいましたね。
 ――人生がだいぶ変わってるな!と思いました。Sexy Zoneは「人生を動かされた存在」というか。
 Sexy Zoneに出会っていなかったら……オタクになっていなかったら、今の仕事にも就いてなかったでしょうね~。
 ――大学時代っていう時期自体、その後の人生を決定付けるような変化をもたらすところがありますけど。そこでSexy Zoneに出会って、よりその変化が加速していった……という印象を受けます。
 そうそう。自分の着火剤になってくれたな、と思います。
 ――火をつけるのはいつだってSexy Zoneだった……?*5
 アハハハハ(笑)。社会人としてのロールモデルにしてるのは風磨くんですし、そこらへんはそうかも。自分の社会人としての意識を作る上で、根幹にはなってると思います。今思えば。
 ――Sexy Zoneに出会った頃、思ってました?ここまで大きな存在になるって。
いや、思ってなかったです。私、セクシーが一番最長で応援してるんですよ。6年経つんですけど、私の場合、優先順位が変わっていくじゃないですか。
 ――ああ……Sexy Zoneに出会うまでの遍歴の中で出てきた……
 そうそう。韓国のアイドルが好きだった高校生の頃、好きなメンバーが2年間兵役に行ってしまう、グループ活動で見れなくなってしまうってなってフェードアウトしたはずなのに。松島くんがいなかった2年間、私フェードアウトしてないんですよ。
 ――ああ~~~~~~そっか…………
 その意味でも別格。Sexy Zoneが好きになってから、オタクをする上で、ずっとSexy Zoneが優先順位1位なんですよ。私の中ではSexy Zoneは、出会い方もイレギュラーなら、ここまでの熱量の変わらなさもイレギュラーなんです。
 ――それは……そこまでのオタク人生の中で、「優先順位はくるくる変わるもの」っていう常識があったわけじゃないですか。なんでずっとこんなに1位なのかな、って考えた事とかありますか?
 多分、単純に人として尊敬してるからだと思います。
 ――そこに還ってくるんですね。
 そこに還ってくる。もうアイドルとして好きっていうよりも、人として尊敬しちゃってるから。
 ――……ぐるぐる廻ってる感じですね。ハマって、ハマった事によって自分の人生の方向性が決まってきて、その中でSexy Zoneって人としてすごいな……ってなっていって、その「人としてすごいな」という思いがSexy Zoneをずっと1位に据えていて。そのサイクルがずっとぐるぐる廻っている感じだな、って今お伺いしていて思いました。
 

■もうあとに戻れないな

「すいません、なんか壮大な感じになっちゃいそうで恐縮ですね~」と笑っているあきちんさんの言葉通り、当初の目論見(出会ってからハマるまでを聞く)からだいぶ外れた、まさしく人生のハイライトの時期のお話をたっぷり伺う事ができた。そもそも「ハマるまで」というのがだいぶふわっとした概念だったな、と改めて感じる。ここでハマった!というタイミングが分かりやすく存在する人だけではないのだ、当たり前だが。
 あきちんさんは聡くんに関しては「BYAKUYAだ!!!!!」という分かりやすいタイミングがあったが、Sexy Zoneというグループ自体に関しては、(一応の節目節目はあれど)なだれこむような勢いでハマりその後もずっと熱量が続いたためか、ハマったタイミングを1つに絞る事はできなさそうな印象を受けた。
 そこで最後に、こんな質問をぶつけてみた。これを今後、毎回最後に聞いていく事にしようかな、と思っている。10年ぐらい前に観たテレビ番組で、「『I love you』を夏目漱石は『月が綺麗ですね』と訳しました*6。あなたは何と訳しますか?」という大喜……問いに対して、東京スカパラダイスオーケストラ谷中敦さんが出した回答が、私は未だに忘れられないので。
 
 ――Sexy Zoneに惹かれていく中で、「もうあとに戻れないな」、と感じた瞬間はいつですか?
 
 あきちんさんはすぐに1つ回答してくれた。そして続けて、もう1つ挙げてくれた。2つ目に挙げてくれた方が時系列的に先なので、そちらから先にご紹介しようと思う。
 
「風磨くんのサマパラ2016で、風磨くんが『Sexy Zoneになりたい』って言った時。……私たまたま、聡ちゃんが見学してた回に入ってて。そこに、聡ちゃんがいる2バルの方をちらちら見ながら風磨くんが言ってたのが見えてたんですよ。そこで、あっ菊池風磨が本腰を入れたな、っていう覚悟を私も感じて。より、こう、なんだろう……風磨くんを強固に信じられるようになって。グループ丸ごと愛せるなって、信じられるなって」
 
 そして、即答した方がこちらだった。
 
 ――Sexy Zoneに惹かれていく中で、「もうあとに戻れないな」、と感じた瞬間はいつですか?
「STAGE最終日です。STAGEオーラスで薔薇のサプライズをした時に、あっ、もう戻れないなと思って…………思った、記憶はあります、すごい。帰りの飛行機の中、ああ……もう、無理かもしれない、って」
 
 
 
 

*1:貴重な資料を見せていただいたり、私がハマる以前のセクシーゾーンたちのエピソードを教えていただいたり、おいしいプロテインを教えていただいたりと、最早セクシーあんま関係ないところまでお世話になっている。

*2:私自身の体感から逆算すると、多分あきちんさんが小学校高学年あたりの頃が、Youtubeが日本で徐々に広まり始めたかも?ぐらいの時期だと思う。

*3:録音を聞いてるとここで私のテンションがめちゃくちゃ上がっていました。あきちんさんは私がPerfumeのオタクでもある事をご存じです。

*4:透明人間になるか、時間を止められるか、どちらか選ぶなら?というA…男子垂涎の話題だったそうです。

*5:言わずもがな風磨さんの名言「俺の心に火をつけてくれるのは、いつだって中島だよ」オマージュです。

*6:俗説ですが。

マイ・ハイライト・オブ・セクシーゾーン(サンプル)

 前に学生時代の先輩から、「市井の人にインタビューをしたい」という謎のオーダーをいただき(確かに市井の人とは言い難い先輩だった)、市井の人代表として聞かれるがままに生活や人生の事についてガストで5時間ぶっ通しで喋った事があるが、インタビューを受けるのは面白かった。文章化して読ませてくれる約束だったが、半年以上経つものの未だに音沙汰がない。自分がどんな事を喋ったのかもうあんまり覚えてないので、よろしければ録音データを送っていただけると幸いなのだが、先輩はそれどころじゃない状態の可能性も充分あり得るので、とりあえず生きていてほしいなと思う。

 

 受ける側を経験すると、今度は自分がインタビューをしてみたくなる。ちゃんと文章を書く訓練は(学校教育以外では)受けた事はないが、他者に対して責任を持たないといけない文章を書いてみたいな…という気持ちもある。このブログみたいな思うまま気の向くままみたいな無責任なやつじゃなくて。大好きだけど。

 そこで、せっかくのザ・ハイライトツアー期間、インタビューさせてくれるSexy Zoneファンを募集する事にした。テーマはファンとしてはおそらく一番輝くハイライトな記憶であろう「Sexy Zoneに出会ってからハマるまで」にしようと思う。いやいや私が出会った頃より今のほうがよっぽどセクシーゾーンは輝いていますが!?!?と思われる諸氏は多いだろうけど、やっぱり今の輝きとはまた別ベクトルで、出会った頃の記憶って大切じゃんか。

 

 募集要項はちゃんと練って、決まり次第Twitterにでも投げてこちらの記事にも追記するが、おそらく「Sexy Zoneのファンである事(ファンになった時期は全く問わない)」「インタビューを録音させてくれる事」「出来上がった文章をこのブログに掲載させてくれる事」ぐらいになると思われる。二つ目は私がちゃんとメモを取れれば不要なのだが、一応保険として……タイピングにはまあまあ自信はあるけど……マルチタスクが苦手でして……

 三つ目はインタビューを受けてくれる人がブログなりnoteなりを持っていたらそちらに納品(って言ってみたいだけ)させていただく事ももちろん可能だが、その場合はこのブログにその記事へのリンクを貼らせてほしい。後からまとめて見る時に便利そうだし……

 

(7/18追記)要項決まったのにすっかり追記を忘れていたのでこちらに貼ります。ご依頼はTwitterのDMなりマシュマロなりでお願いします!

新規募集は7月いっぱいまで受け付けています。

 

【募集要項】

■インタビュー前までにお伺いする項目

・インタビュー日時(平日は夜20時以降のみ、土日は要相談だが土夜はだいたい厳しいです、時間は30分ないし1時間以内を目安に、出演番組などのセクゾごとがない時限定)

・インタビュー方法(原則音声通話、手段は要相談)

・記事の形式(対話形式か文章形式(サンプル同様の形式)か)

・掲載場所(当方のブログ内か、受ける方のブログ内か)

・名前(ハンドルネーム)出すかイニシャル表記か

・年齢や生活環境などのプライバシーに一部関わる情報を伏せるか否か(サンプル内で言うと私が「既に社会人になっていた」「実家で両親と同居していた」事が伺える描写などです)


■当日インタビュー内でお伺いする事(予定)

・「出会った」と感じた時

・本当に一番最初に名前を知った時

・「ハマった」と感じた時

・出会ってからハマるまでの時期の他の趣味関心(あれば)

・惹かれた要因


■注意事項

・インタビュー時、内容を録音させていただきます。記事を書き終わり次第、録音は削除いたします。

・インタビューした記事は、特にご希望がなければ私のブログに掲載いたします。ご自身でブログなどをお持ちの場合はそちらに掲載いただいて構いませんが、その際は私のブログにそちらの記事へのリンクを張らせていただきます。また、今回の企画サンプル記事へのリンクをお願いする事になります。

・今までインタビューをした事がない為、不慣れ故の不手際があるかもしれませんがご了承ください。

・ご依頼いただいた方の人数、また内容量によっては、インタビューさせていただいてから記事化するまでにお時間をいただく事があります。

・インタビューの日時は可能な限り調整いたしますが、どうしてもご都合が合わない場合にはアンケート形式(文章でのやり取り)とさせていただく場合があります。

 

 

 

 インタビューをさせていただいたら、その内容を文章にまとめる事になる。対話した内容をそのまま対話形式で書き起こすのもありだし、一つの文章っぽくするのもありだし、そこは受けた方のご要望に合わせようと思う。

 文章のサンプルとして、私がSexy Zoneに出会ってからハマる(ハマったと私が認識する)までを以下に載せておくので、ご依頼いただく方はふーんと思っていただければ幸いである。私の場合は出会ってからハマるまでが1ヶ月半ほどと比較的短いので、多分そんなに長くはならない。自己との対話はだいぶムズいので文章スタイルになりますが、ご承知おきください。

 

 

*****

 

 11月の土曜の夜、オーケストラの練習から帰ってきた私は、リビングに楽器や荷物を置き散らかして晩ご飯を食べ、母が追い焚きしておいてくれた風呂に入り、スマホを見ながらあまりにダラダラ入るのでその後入る予定だった母に小言を言われ平謝りしながら、リビングに戻ってきた。父はいつものように、私が晩ご飯を食べている頃から風呂を上がった時点に至るまで、ずっと晩酌をしている。いい加減にしなと言いつつ、全然父のほうは見ないでスマホを再びいじる。どうせ父も雑誌を読むかテレビを観るかで、こちらの小言などいつも聞いていない。

 ちらりと目線を上げると、父はテレビドラマを観ているようだった。いつも大河ドラマか、録画した中国とかインドとか東南アジアの謎のドラマを観ている事が多い父だが、普通のテレビドラマもたまに観ている。そんなにシリアスな内容ではなさそうだし、飲みながら暇を潰すのにちょうどいいのだろう。やる事がないなら飲酒を切り上げてさっさと寝ればいいのに、と思いつつ、自分の部屋に戻った。

 

 翌々週、今日こそはちゃっちゃかお風呂に入って小言を母から食らわないようにするぞ、と意気込みながら寝巻きをかき集めていると、父がまた酒を飲んでいたので小言を浴びせながらそちらを見た。父はまた先々週と同じドラマを観ているようだった。先週は確か観ていなかったと思うので、別にドラマが気になって毎週きっちり観ているというわけではないようだ。

 この時間帯どんだけ他に観る番組ないんだテレビよ……と呆れつつ、しばらく手を止めて父と一緒に眺めた。主人公の男の子がとにかくあざとくて、カワイイ動きをするたびに効果音が鳴る。今時こんなドラマあるんだ……いや今時も何もテレビドラマ自体まともに観たことないけど……と思いながら風呂に入った。知らない役者さんだけどカワイイ子ではあったな、と思いながら。

 小言を言われずに風呂脱出に成功し、リビングに戻ると父はまだドラマを観ながら酒を飲んでいて、もうめんどくさいので何も言わずに水を汲んで父の隣に座った。風呂上がりの水って常にうめ〜と思っていると、ドラマはもう終わり際のようで、主人公の刑事の男の子と、その相棒で大泥棒という設定らしい遠藤憲一がバーで飲んでいた。そこまでをふんわりとしか観ていなかったので、なぜ刑事と泥棒がタッグを組んでいるのかは分からなかったが、仲は良さそうなのでまあいいか……と思った。何がまあいいか……だったのだろうか。

 私が風呂に入る前に何やら揉めていたスリの犯人は無事逮捕できたようで、良かったね……そういや私バーとかあんまり行った事ないな……行ってみたいな……と思いながら眺めていたら、見るからにぱやぱやしている主人公がいつのまにか遠藤憲一の財布を手にしていた。遠藤憲一の技術をお手本にしてスったのだという。おっやるじゃん、こういう見るからにぴよぴよしている子が実はやる時はやる、みたいなギャップ大好きよ…………………………あれ、遠藤憲一のポケットから普通に財布出てき

「前に見た時からカッコいいな〜と思ってて。お揃いにしたんです、ケ〜ムさ〜んと♬」

なんて??????????

 

 首傾げの角度声色台詞財布を掲げる手つき、直前まで実はやればできる子なのかと思わせておいての爆裂カワイイ爆弾という匠の業すぎる緊張アンド緩和、私が遠藤憲一だとしても絶対「エwヘwヘwじゃwねwえwよwてwめwえw」と文字間全てに草を挟み込んでしまっただろう。そうでもしないと人の形相を保つのが難しい。人間の防衛本能ってすごい。

 ここまでがエンドロールの間中ぐるぐると脳内を流れていた。後ろで流れている曲も雰囲気あっていいじゃない。気が付いたらドラマのタイトルを手にしたスマホGoogle Chromeに打ち込んでいた。「ドロ刑 日テレ」と。

 

 テレビドラマ自体をほとんど観た事がなかった私が、ドロ刑の過去放送回を観るためだけに速攻でHuluに加入し、まだ4話までしか放送されていなかったので爆速で追いつき、そこから毎週固唾を飲んでテレビの前でリアタイする事になった。初めての経験だった。Huluで観た第3回のエンディング、あまりに完璧なタイミングで入ってきたブルースハープのイントロに心を撃ち抜かれ、初めてその後に続く主題歌に耳を澄ませてみた。鬼ほどキャッチーな最高の歌謡曲だった。

 並行してあの超絶カワイイ子の名前を知った私は、彼がジャニーズ事務所所属のアイドルである事を知り、ヒェ〜〜と思った。まさかこれまで全く縁のなかったジャンル・ジャニーズに興味を抱く日がくるとは。"アイドル"という概念自体は何となく好きだったが、男性で、歌い踊る実像を持って私の前に現れた実在の人物は、ケンティーなる彼が初めてだった。歌って踊る時の彼は、ドラマの中のあのハチャメチャカワイイ子とは表情が全く違うらしかった。まず声が違くて、どれだけ斑目くんの声を『カラクリだらけのテンダネス』の中に探してみても見つからなかった。ケムさんと一緒に出演するというので観てみた音楽特番で、メンバーの休業を報告している時の表情はやや強張っていたし、その後披露されたドラマ主題歌ではとても堂々としていた。

 12月に入る頃には、彼の所属するグループについても徐々に知識がついてきた。曰く、彼には長年の頭のキレる相棒がいる。驚くほど美しい人がいる。えらく聡明な人がいる。休業が発表されていた人は、笑顔があまりにもかわいらしい人らしい。高校生の時、あまりにも幼い顔の並ぶどでかい看板が最寄り駅に掲示されていて、こんな子どもを働かせてどうするんだか、と思っていた子たちが彼らだと初めて知った。グループの中にいる彼を、色々な曲を歌い踊る彼をもっと観てみたいなと思った。

 12月の半ば、ドラマ『ドロ刑』は最終回を迎えた。日テレ土夜22時の効果音付きクソ軽コントドラマにこんなズブズブになりたくないよう!とあまりにも失礼極まりない事を言い散らしながら1ヶ月半を駆け抜けて、最後は泣いてしまった。綺麗な終わり方だった。でもあれから3年半経つ今でも続編を望んでしまっている。最終回の翌日がオーケストラの演奏会本番で年末恒例の第九だったのだが、今年の第九はドロ刑の美しい最終回と斑目くんのこれからの幸せに捧げるんだい……と半泣きで演奏したのを今でも覚えている。

 当然ドロ刑ロスに陥った。何かにハマった感覚自体が久しぶりだった。大学生の頃からずっとやっていたソシャゲ類は、社会人になってあまり時間が取れなくなってどうしても遠ざかりがちになっていた。オーケストラには元々ハマった事などあまりなかった。楽しかった頃の追憶と惰性のためにやっているようなものだった。

 だから、CD3枚(ウェルセク・5thベスト・リペ)とDVD2枚(ウェルセク・STAGE)を一気に買い、リペDVDを予約した(ギリギリ発売前だった)のは、久々に退屈な人生から抜け出すための鍵を見つけた、と感じたからかもしれない。

 

 最初に観たのがSTAGEで本当に良かった。最初のRTTとセレブレで、私はすっかりSexy Zoneの創り出す世界に夢中になった。全ての元を取り切り、いいコンサートだったな……と最初の2曲で感じたのを、今でもはっきりと覚えている。

 そして二回目の運命の刻。あの日財布を片手に笑っていた青年と同じ顔をした中島健人さんに私は星屑にされ、肩を出してミステリアス、と笑うその顔を最後にしばらく記憶を失うのだ。

 

 

*****

 

 以上がサンプルです。

 本当はこの後発売されたリペを観て更に狂っているところにツアー発表やらペジ発売やらが押し寄せてきて気が付いたらFCに加入しておりツアー当選を機にTwitter開設したりして今に至るのですが、「ハマった、と感じた瞬間」が今回のインタビューのゴールになるので、文章としてはここで終わりです。

 インタビューさせていただける方はぜひTwitterまでご連絡いただけると幸いです。よろしくお願いいたします。

『ザ・ハイライト』全曲感想

 Sexy Zoneポニーキャニオン在籍時アルバム後期三部作(と勝手に私が呼んでいる)『XYZ=Repainting』(2018年)『PAGES』(2019年)『POP×STEP!?』(2020年)のコンセプトと精神性をまとめて一枚のアルバムに仕立てて殴り込んできたなTOP J Records!とものすごくワクワクするのが、今回の新アルバム『ザ・ハイライト』だ。
 『XYZ=Repainting』の自分たちの可能性を刷新しようとする意気込みは、今回のジャケットやMVを始めとするアートワークにメンバーがとことんこだわっている所に繋がっているし、今回の「人生のハイライトをお送りする」というコンセプトは言わずもがな『PAGES』の「人生の1ページを切り取る」というコンセプトの昇華だし、『POP×STEP!?』で見せた一つのアルバムとしての曲の繋がりのうねり・一つ一つの楽曲クオリティの追求姿勢はそのまま引き継がれている。
 だから今回この『ザ・ハイライト』で初めてSexy Zoneに触れた人はそのまま過去作にも手を伸ばしてみてほしいし、過去に上記アルバムたちが好きだった人はぜひ『ザ・ハイライト』で最高になってほしい。

 という事で一曲ごとの感想いきます!


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1.Forever Gold(リード曲)


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 80年代の洋楽っぽい音をふんだんに使ったリード曲で、青春の輝きをぎゅっと詰め込んだようなタイムカプセル感が本当に大好きな楽曲。2番の歌詞でこれまでのSexy Zoneの歩みを懐かしんで振り返っているような感覚に襲われた人は多いだろう。
 青春を振り返る曲は切なくなりがち(というか私がそういうの好きがち)だが、現在がこれだけ煌めいていれば、同じ「振り返り」でも決して湿っぽくならずに空に抜けるような爽快感が出るんだな!というのが新たな発見だった。夏の空!蒸せ返る熱気!ではあるけど湿気りすぎない気候!
 解禁時から歌詞に「振り返るハイライト」と直球タイトルロールがクレジットされているのが話題を呼んでいたが、このワードがある事でこのアルバムのコンセプトが更に強調され、まるでこの曲がアルバム全体の序曲であるかのような効果を生んでいる、と思う。オペラとかだと序曲は「これからこんな物語が展開しますよ」というのをご案内する役割を持っていて、本編の曲たちの要素(フレーズとか)をそれぞれ含んでいたりする*1ものだが、このForever Goldは「これからの曲たちで、ある人生のハイライトを振り返っていくんですよ」というのを教えてくれる。

 アルバムを聴き終わった後にForever Goldに戻ると、「振り返るハイライト」の歌詞を聴くたびにアルバム収録曲が走馬灯のように脳裏を駆け巡るようになるんでオススメです。

 

2.Desideria

 Forever Goldが賑やかに音数多め(シンセの密度濃いめ?)で進んだ分、Desideriaのイントロで一気に音数が減り余白が増え、何何?何が始まるんだ?とぐっとこちらを引き込んでくる。あと多分、本当に多分だけどForever Goldの一番最後の音とDesideriaの一番最初の音は同じ音だと思う。自信ないけど。Forever Goldを序曲とすると、このDesideriaからアルバム本編がスタートする事になるのだが、全く違うジャンルで引き込ませつつ繋がりを失わないように、同じ音繋ぎにしてるのかな〜と推測する。
 音やメロディ運びに和要素がまぶされていて、疾走感に良いスパイスを加えていると思う。あと高音ボーカルが目立つので清涼感がすごい。この曲は絶対80年代ではないのだが、じゃあどの年代か?と聞かれると私は答えに迷ってしまう。実際色々な人の感想を見てもわりとこの曲は意見が割れているように思う。個人的にはこれ絶対クロスビーツ*2でプレイした事あるわという感じ。音ゲーに全く詳しくないのでアレだが、音ゲー収録曲って色んな時代・ジャンルの要素をごちゃ混ぜにしているイメージがあるので、Desideriaも多分そういう事なんじゃないかな。

 

3.THE FINEST(リード曲)


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 Desideriaが終わると急にベースが骨太になって、めちゃくちゃ現代なようなものすごい80年代なようなTHE FINESTが始まる流れがすごい好き。Desideriaの後だと余計に生楽器のベースが骨太に聴こえる気がする。
 MVの印象に引きずられている気がするが、相手が輝く(=ハイライト?)お手伝いを散々したくせにいざ他にかっさらわれそうになったら焦る男……という印象を受ける歌詞。焦り方が世界一オシャレ。でも「You should love me like a partner」なので実際にはパートナーじゃない……?「主人公は洋服とか装い全般の擬人化」説も未だ濃厚かもしれない。

 

4.夏のハイドレンジア(シングル曲)


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 アルバムのコンセプトが発表された段階では、えっ……思いっきり現代のJ-POPですがこの子は大丈夫でしょうか……確かに夏は夏ですが梅雨ですし……本当にこの子は戦えますか……?と心配になっていましたが、ごめん全然杞憂だった。

 この曲の一番最初の音、個人的には耳鳴り(=アニメとかでよく「何かを思い出そうとするけど思い出せない」描写で出てくる)の音みたいだなあと発売当時思ったものですが、Forever Gold〜THE FINESTのノスタルジックな流れの後に聴くとますますそんな感じがする気がする。
 去年のドラマの主題歌としてリリースされて、この曲とずっと一緒に過ごした去年の夏、それも私たちのハイライトの一つなのだ。

 

5.Iris

 結婚式で絶対に聴いた。新郎新婦お色直しで再入場してくる時、サビ直前に「それでは、新郎新婦入場です!」のアナウンスが入り間髪入れずドアが開き「他の誰でもなかった♪まさかね でも、君だったんだ♪」が流れ始めるこの完璧な流れ、今すぐできる。結婚式司会のバイトをした事があるような気すらしてきた。夏のハイドレンジアの次なのもいいよね。「晴れ渡るフィナーレ」がIrisなのでは!?!?!?!自分司会やれます!やらせてください!
 キュートさと韻の心地よさのハイブリッドを味わえるアイドルラップが本当に大好きなんだけど、このIrisではまさにその醍醐味がすごい。最初にレコードに針を落とすようなアナログな音とカセットテープ越しのような音声、最後の咳払いと照れ笑い、その点すげ~よなIrisは 最初から最後までチョコたっぷりだもんな

 

6.SUMMER FEVER

 聴くタイプのシーブリーズ。サビ前のYeah this is SUMMER FEVERを聡ちゃんパートにした人には今生で最高の幸福が降り注いでほしい。聡ちゃんの透明感あるボーカルが夏との親和性グンバツなのはとっくにMermaidで証明済、オタクにとって「音が消えて聡ちゃんの声だけになる」=夏を表すライトモチーフであって……(ろくろ)
 「溶け合って Midnight(みない?)」「熱くったって In the night(いいんじゃない?)」といったダブルミーニングというかダジャレというかが逆に80年代を感じさせる、明るく爽やかEDM。分かりやすくノれる。腰に蝶のタトゥーとかしてそう。めっちゃローライズのジーパン履いてチラ見せしてきそう。ガラケーにファーのストラップ付けてそう。曲を擬人化すんな。

 

7.Story

 SUMMER FEVERでひとしきりはしゃいでいる間に気付いたら日は暮れ、人がいなくなった海辺に打ち寄せる波の音で始まるStory。夜の静寂に満ちる温かな幸福感が胸を締め付ける、まさにザ・ハイライトな一曲なわけですが、何でだろうこの曲を聴くと辛い気持ちになるのは……だって今のこの幸せが絶頂であればあるほど……失った時の喪失感は大きいわけで……(2個目の茶碗を作る)
 だって失う予感しかしないのだ。波は寄せては消えるから波なのだ。「終わらないで」「ただただ消えない様に」「奇跡を願う様に」と重ねるごとに、きっとこの人は永遠などない事を分かっていながら尚永遠を願っているのだろうと思ってしまう。そういうの大好きだ……(瀕死のハンス)

 歌詞を見ずになんとなく聴くだけで、満天の星空や打ち上がる花火、それを見上げる二人が目に浮かぶような曲調だな…と思っていたら歌詞でもそれらが綴られていて、音楽の描写力ってすごいなと改めて感じた。サビ冒頭のフレーズ「真夏の夜のStory」は「真夏の夜の夢」とかけているのだろうか*3。だとすると、Story=夢=Dreamという事になって夏の大しんど三角形をQ.E.D.してしまいますが……(瀕死のハンス二体目)

 

8.Eliminator

 ここでパキリと曲調が切り替わり、アルバムが新たな局面に突入した事を印象付ける。Forever Gold→Desideriaでの切り替わりを再演している感じ。曲単体だとDesideriaとEliminatorではだいぶ音の重さが違う感じで全くの別物なのも面白い。アルバム真ん中~後半にかけて風刺的(以下の提供者ツイートからも、結構な思いがこもっている事が分かる)な歌詞のバキバキ曲を挟むという、『PAGES』『POP×STEP!?』から続く様式美をしっかり引き継いでいる。
 楽曲自体は言ってしまえばよくあるダンサブル楽曲なんだけど、結局こういうの好きなんだよ。普遍的にカッコいい。中学2年生の私が鳴り響く警告音に大はしゃぎしている。オタクは全員KEEP OUTテープが好きと相場が決まっているんです。

9.Freak your body

 Eliminatorとのコンビネーションが完璧で、否応にも上げられたテンションと拳をそのままぶつけられるセクシーEDM。毎回「We makin' love」で音サビに入るのが最高。この盛り上がりこそが僕なりの愛ってか。しっかりフォーウ!みたいな昔っぽい音(伝われ)でレトロ感も担保しているのがニクい。

 健人くんの「もっと欲しい?」が声の跳ね上げ方表情の付け方などなど本当にfooooすぎる。語彙力の敗北である。全体的にこれまでのSexy Zone楽曲にはなかった直球エロタイプの歌詞で、勝利くんパートの「後ろから~」のとこなんか歌詞を読むとまじでウォウウォウなんですけど、ここの勝利くんの歌声が本当に絶妙にキュートでそっちの意味で悶絶する。天才か?

 

10.休みの日くらい休ませて

 ここにきて異色の楽曲、岡崎体育の提供曲である。Eliminator~Freak your bodyでゴリゴリに攻め込んだ後に、これまでSexy Zone楽曲にほぼ無かったコミックソング*4チックなこちら。Freak your bodyとはそういう「これまでになかった要素」という点での繋がりはあるかもしれない。曲調的にもしっかりしたバンドサウンドで、EDM攻めでぶち上がっている間に知らず知らず疲弊し始めた耳に心地よい。

 菊池風磨さんの作るコンサートには高確率で幕間、箸休めのおふざけパートが入るが、その要素をアルバム中で再現しようとしたのがこの楽曲この位置なのだろうなと感じる。この『ザ・ハイライト』という作品は、ダイジェスト動画(この記事最初のYoutubeリンク)でも明らかなように、おおよそ昼~夜への時系列に沿った順で並んでいる。夜の曲の比率がやや高いのがSexy Zoneらしさ。その中で、この休みの日くらい休ませては明らかに浮いた位置にいる。明らかに夜を意識したFreak your bodyの後なのに「静かな午前の家の中」と来たもんだ。このズレによって、この曲がアルバムの本筋から離れたスピンオフ的な性格を持っているように感じられて、私はこの曲順大好きです。

 

11.LET'S MUSIC(シングル曲)


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 題名の影響もそうだし、去年のSZ10THの印象も強すぎて、この曲は開幕以外どこにどうやって入れ込むんだ!?!?!?とソワソワしていましたがごめん全然杞2回目のため省略。幕間たる休みの日くらい休ませてを挟んで、この後に控えるアルバム中最高最後のドラマチックパートにつなげるナイスすぎる橋渡し、レツミュをここの位置に決めた人決めた瞬間絶対めちゃくちゃ脳汁出た。曲調も、そもそもこの曲がなければ今回のコンセプトはなかったのでは?と思わせるほど何の違和感もなくハマっている。

 音楽しようぜ、と改めて終盤を手前にしたここで楽しく高らかに宣言して、『ザ・ハイライト』というアルバムは終息に向かっていく。

 

12.Summer Ride

 真夏の夜の空気感と湿気を閉じ込めたような音が響く楽曲。1番のサビで「あの日の海まで 君を連れていけるよ」と出てくるところで、これまで振り返ってきた数々のハイライトのいくつかが走馬灯のように浮かぶ。どの海だろうね。Desideriaで「波打つMidnight」って言っていたところかな。SUMMER FEVERで飛び跳ねてたビーチかな。Storyで寄せては返していた波かな。Freak your bodyで部屋が軋んでたのはまさか海沿いの寂れたやっすいラブとにかく走馬灯。Cメロの健人くんパート「思い出は 闇の中で 光る星さ」は、Forever Goldのあの「振り返るハイライト」「Beautiful Times Beautiful Lights」と同じ動機なのに、あまりにもその響き方が違う。

 「追いかけよう 間に合うならば」「僕の口から伝わってほしかったよ」ととにかくI wish I had 過去分詞*5な文が続くが、一貫して「君が好きさ」だけはずっと、何があっても現在形なのである。その気持ちをなんでもっと早く……行けよ……こんな場所(ところ)俺がどうにかしておくからさ……行けよ……!って親友役の私が言ってる。

 落ちサビ直前のあの息を吸い込むような空白の瞬間に、どれほどの光景が脳裏をよぎる事か。

 

13.Dream

 Dメロ以下略*6。このアルバムの抒情性の頂点がここで築かれる。『PAGES』におけるiri提供曲のmake me brightを以前「泣き疲れた後に観る夢のような曲」と表現した事があるが*7、まさかド直球で【Dream】と来るとは……

 iriからの歌い方のアドバイスが結構残されていた、とのメンバー談だったが、それがめちゃくちゃめちゃくちゃめちゃくちゃ効果的でたまげた。声の綺麗さはそのままに、少し乾いた声音と湿気を含んだ表情、という相反する色が乗っている。特にしょりそうの声を乾かしたのは本当に偉大すぎる功績。合いすぎる。1番のサビではすっと通り抜けるようなベースラインが、2番のサビ後半で感情の昂ぶりに合わせて動き始めるところとか、楽曲自体のドラマチック性もすごい。

 そして問題のDメロ略は本当にふまけん二元論を感じさせた。ふまけん二元論とは、「万物は『どちらかというと健人くんっぽい』『どちらかというと風磨くんっぽい』に分類する事ができる」という暴論である。このブログを始めたばかりの時、ふまけんに限らずとにかくメンバーにこんな曲歌ってほしいこういうの似合いそう、と個人の偏見と性癖を抽出して暴走した記事をたくさん書いていたが、当のふまけん本人からこんなでっかい【永遠】と【刹那】を手渡されると戸惑ってしまう。Dメロの健人くんパートで永遠を夢見た後に(なお健人くんの歌い方から、おそらくその永遠は叶わない事をこの曲の主人公は分かっていると思われる)、落ちサビの風磨くんパートを聴くとありとあらゆる感情が溢れ出してしまう。これが逆の順序ならこうはいかない。逆ならいわゆるハッピーエンドで救いがあるかもしれないけど、救いとかじゃねえから……

 

14.Ringa Ringa Ring

 Dreamで築かれた感情の頂点から、さあどうやって降りてこよう……と途方に暮れているところに颯爽と登場する懐かしい香りのブラス音と女声コーラス。ブラウン管の向こうから聴こえてくるあの頃の音楽から始まったアルバムは、同じようにあの頃の音楽に乗せてブラウン管の向こうに帰っていく。あまりにも綺麗な構成。Forever Goldが序曲なら、Ringa Ringa Ringがカーテンコール。

 この曲を「一番僕ららしいと思ってもらえると思う」とメンバーが評しているのに震える。かわいらしさと上品さと小粋さとノスタルジーと少しの切なさを混ぜて固めて出来上がったこのポップが、結局Sexy Zoneの軸なのだと、一番本人たちが自覚的なのだ。この曲を聴き終わって心地よい余韻に包まれる瞬間が、アルバムを通して聴いた者にだけ与えられる最高のご褒美だろう。

 

 そして次にこのアルバムを再生した時には、Forever Goldで歌われる「振り返るハイライト」が、最初に聴いた時とは段違いの実像を伴って目の前に現れるのだ。

 

 

 

 

*1:オタクに一番分かりやすい直近の例でいくと、SHOCKの最初の生オケとかまさにそう。あれはどちらかというと序曲というよりシンプルに劇中楽曲のメドレーですが、役割としては同じ。

*2:CAPCOMが以前リリースしていたスマホ音ゲー逆転裁判のBGMリミックスに釣られて一時期プレイしてました。

*3:作品内容的には全然違いそうなので、あくまでワードとして。

*4:トンチキとは似て非なるもの。

*5:先日スペースでこの話をした際、全然出てこなくて義務教育の敗北を感じた。これでも高校生に大学受験の英語を教えていた事があります。日本はもう終わりだよ。日本を巻き込むなお前がクソなだけ

*6:ご存じない方のために全文載せておくと、「Dメロ中島からの落ちサビ菊池」。風磨くんがラジオでのDream初解禁時、まだ解禁されていないそこの箇所が最も聴きごたえがあると自賛した時の台詞。

*7:何で書いたっけ?と思って探したらちゃんと記事にはしておらず、ポプステの曲の繋ぎについての感想文の注釈で触れていただけだった。このアルバムこの繋ぎが、好きだよ〜〜選手権 POP×STEP!?編 - 三ヶ月坊主

(音楽文再録) よく回るのが季節とCD、枯れるのが紫陽花 〜Sexy Zone『夏のハイドレンジア』観察記〜

(2021年8月6日掲載) *1

 

 夏の気温が35度を超えても誰も驚かなくなろうと、雨がゲリラ呼ばわりされようと、よく分からない時期に雪が降っても、四季というものはこの国で信じられ続けるのだろう。どれだけ9月、下手したら10月まで暑さを引きずって運動会はこの時期避けようねとなっていても、「日本の夏とは6〜8月の事を指す」という認識は私の中で未だ強固に存在する。暦上の事は一旦置いておいて。

 このサブスク全盛時代に、アーティストがあえてCDを出す意味はなんなのか。色んな人が考えて、色んな結論にそれぞれ達している。私はまだ、「CDやレコードなどの形に残るものは全く出さなくていい、配信だけがいい」という結論に達した人はあまり見たことがない。採算が取れるのか心配しつつ、出してくれるなら出してほしい、自分の好きなアーティストのものだけは手に入れるから、という人が比較的多いように思う。好きなものは目に見える形で所有したい、という思いもまた、私の中で強固だ。

 Sexy Zoneの新曲『夏のハイドレンジア』のCDを手に取った時、私の中にずっと残るそんな思いたちが、かちりとこれまた強固に噛み合って嵌まり込んだ気がした。

 


 『夏のハイドレンジア』発売が発表されたのは6/9、まだ関東は梅雨入りする前だった。既に気温は30度近かったが湿気はさほどなかったカラリとした暑さの中、まず楽曲提供した秦基博さんのコメントを読んだ。「ハイドレンジア」という聞き馴染みのない単語は紫陽花の洋名である事。この曲が主題歌に採用されたドラマのヒロインを、都会の雨の中で凛と咲く紫陽花に見立てている事など。

 コメントを読んで、今はまだ来ていない梅雨、今はまだ咲き始めたばかりで見頃は迎えていない紫陽花に思いを馳せた。この曲が発売される頃にはどちらも終わっているだろうとも考えた。まだ遠い先だった。発売される頃のむせ返るような暑さと、暴力的なまでの太陽光の事を想像して、そろそろエアコンのフィルターを掃除せねばと思った。まだ窓を開けて風を通していれば快適だったが、そうもいかない暑さが来るのは知っていた。

 


 試聴が始まった6/16には既に関東は梅雨入りしていた。この曲の音がみずみずしさに満ちていると思った。それはピンと張りのいいベース音のせいかもしれなかったし、流れるようなストリクングスのせいかもしれなかったし、零れるようなはなやかさを保ちつつ凛と澄んだ歌声のせいかもしれなかったし、イヤホンを耳にした私の頭上にかぶさっていた今にも降り出しそうな色をした雲のせいかもしれなかった。

 


 気温はあまり上がらずたまに晴れ間も出る快適な日が少し続いた6/25には、一緒にCDに収録されるカップリング曲のタイトルが解禁された。勿論今回も表題曲を引き立たせるだけのかすみ草のような存在にはとどまらないだろう、でもかすみ草も単体で私好きなんだけどそれはまた別の話、とは事前に思っていたが、まさか「神はサイコロを振らない」さんがとびきり目立つ花を贈ってきてくれているとは思わなかった。

 


 この曲が初めて本格的に披露されたのは7/3、関東は梅雨の真っ只中で、気温は上がらず一日雨が降っていたように思う。エアコンのフィルターは一度掃除したもののしばらく使っておらず、この湿気だとカビでも生えてきそうだと思っていた。生放送の音楽番組でSexy Zoneのメンバーがその天気にふさわしくしっとりと歌い上げているのを眺めながら、今発売すればいいのに、と思った。Sexy Zoneの歌声には憂いがあって、でも最後には"晴れ渡るフィナーレへと手を引いて連れていくから"と希望を感じさせる声で歌っていて、このどんよりとした天気の中で聴くのにまさにぴったりな曲だと思った。

 最初は聞き馴染みのなかった"ハイドレンジア"という言葉にも、だいぶ耳が慣れてきていた。もう街中のどこで耳にしても、すぐに紫陽花の事だと気付けると思った。見頃は少し過ぎたものの、今年は紫陽花を街中でよく見かけるとも思った。見かけるたびに『夏のハイドレンジア』の事が脳裏をよぎって、例年より色濃く見えた。

 


 MVが公開されたのは7/12、関東はまだ宣言こそされていなかったが、気温は30度を超えて晴れ渡り、もう間もなく梅雨明けかと思われた。学校を舞台にしたMVは、プールや暗い教室など、どこか冷んやりと感じられる背景も多かった。この頃になると、ドラマに間に合うように急いでシャワーを浴び、エアコンの効いた室内で部屋着のTシャツを被りながらテレビの前に座る火曜日にもすっかり慣れていた。毎回ドラマがいい所で終わり、もう何度も聴いた歌い出し"ハイドレンジア"の特徴的で美しいフレーズが、絶妙な案配で映像に挟まる。

 もう近所の紫陽花は、ほとんどが枯れて葉だけになっていた。

 


 発売日…の前日、8/3、これを書いている今日、関東はとうに梅雨明けして空は晴れ渡り連日のうだるような暑さ、落ちた葉をしばらく置いておいたら焦げてしまうのではないかとすら思わせる灼熱のコンクリート、それを踏みしめて帰りを急いだ。腕には買ったばかりで包装されたままのCDが入った袋がぶら下がっていた。早く家に帰って開いてあげないと枯れてしまうような気がしていた。花は持ち運ぶ時は逆さに持ってあげたほうがいいと言うが、CDはどう持つのが良かっただろう。

 当然だが、CDは枯れない。今年の紫陽花がとっくのとうに全て枯れても、大事に保管して再生機器さえ用意すればいつでも、どこでも、いつになっても聴く事ができる。無事に持って帰ってこれたCDは今、私が一つだけ持っているCDプレイヤーに生けてある。私のこの2021年夏の記憶をたくさん含んで、何回でも回る。

 焦らしに焦らされてようやく手に入れた"晴れ渡るフィナーレ"の季節だ。

*1:他の再録と異なり、これだけ音楽文サービス終了前に最終稿を保存し忘れた為、手元に残っていた投稿前のデータとなります。